Disc Review

Why Wait! / Kate Taylor (Compass Records/Red House Records)

ホワイ・ウェイト!/ケイト・テイラー

みんなの妹、みたいな。そういうイメージがずっとある。

ケイト・テイラー。ご存じ、ジェイムス・テイラーの妹さん。音楽好きの一家で育ったこともあって、1960年代半ばからアマチュア・バンド活動とかしていたようで。その経験も活かしながら、お兄ちゃんのジェイムスが1970年、セカンド・アルバム『スウィート・ベイビー・ジェイムス』で本格ブレイクしたタイミングで、勢いに乗ってピーター・アッシャーのプロデュースの下、ファースト・アルバム『シスター・ケイト』(1971年)で自らもデビュー。

なにせ、このタイトルが“シスター”だったこともあって。もう、とにかく“妹”。全然年上なんだけど、でも、妹。永遠の妹。少なくともぼくの中には、そんなイメージがすっかり定着してしまった。ちょうど同じころ、ジェイムスの兄のアレックスや、弟のリヴィングストンもそれぞれアルバムをリリースしてテイラー一家への注目が一気に高まった。ぼくも全員のアルバムを買ったものだ。親戚でもないのにね。やー、懐かしい。

でも実のところ、そのアルバムの内容も、どこか妹っぽかったというか。いや、まあ、妹っぽい音楽なんてものがこの世にあるのかどうかはわからないけど(笑)。

キャロル・キングのカヴァーが2曲、エルトン・ジョンのカヴァーが2曲、ジェイムスお兄ちゃんのカヴァーが2曲、リヴィングストン・テイラーのカヴァーが1曲。それらを核に、クリス・ファーロウ、ハワード・テイト、ジョージ・ジョーンズ、ハニーバス、ジョン&ビヴァリー・マーティンなど、渋いところを突いたカヴァーが並んでいて。

この、デビュー作にしていきなり全曲カヴァーでまとめちゃう感じが、ね。自作の名曲をアルバムに満載しているジェイムスやリヴィングストン、あるいは同じくカヴァー中心のアルバムでデビューしたとはいえ、独自のサザン〜スワンプ感覚で貫こうとしていたアレックスらとは何かが違っていたというか。

とにかく、ぼくはデビューの段階からとても微笑ましくケイト・テイラーを受け止めていた、と。要するに、そういうことです。同じ感想を抱いていらっしゃった方、少なくないと思う。

以降も、『ケイト・テイラー(Kate Taylor)』(1978年)、『ケイト・テイラーズ・クック・ブック(It's in There…And It's Got To Come Ou)』(1979年)、『ビューティフル・ロード』(2003年)、『ライヴ・アット・ザ・カッティング・ルーム』(2005年)、『フェア・タイム』(2009年)と、マイペースでアルバム・リリースを続けて。

でもって、デビュー・アルバム『シスター・ケイト』から50周年にあたる今年、クラウド・ファンディングでファンの助けも借りつつ、久々の新作アルバムを届けてくれたのでした。それが本作『ホワイ・ウェイト!』。

プロデュースはなんとデビュー盤同様のピーター・アッシャー! やはりデビュー盤をバックアップしていた旧友、ダニー・コーチマー、リー・スクラー、ラス・カンケルらも勢揃い。さらにワディー・ワクテル、アルバート・リー、ジェフ・アラン・ロス、スカーレット・リヴェラらも参加。収録曲もデビュー盤同様、カヴァー中心だ。

ビートルズの「グッド・デイ・サンシャイン」、エド・シーランの「シー」(「ヒー」にタイトルを変えて…)、タジ・マハールの「シー・コート・ザ・ケイティ」(こちらも「ヒー・コート…」に)、ナンシー・ウィルソンの「(ユー・ドント・ノウ)ハウ・グラッド・アイ・アム」、ジェイムスお兄ちゃんの「アイ・ウィル・フォロー」、エキサイターズの「テル・ヒム」、グレイト・アメリカン・ソングブック系の「ザ・グローリー・オヴ・ラヴ」、リトル・フィートの「ロング・ディスタンス・ラヴ」、ステイプル・シンガーズの「ドント・ノック」、トミー・ジェイムス&ザ・シャンデルズの「クリスタル・ブルー・パースエイジョン」、エタ・ジェイムスの「ストップ・ザ・ウェディング」。

スタンダード、ガール・グループもの、バンドもの、シンガー・ソングライターもの、西海岸ロック、R&Bなど、ほのぼの幅広い選曲だ。そこに表題曲「ホワイ・ウェイト!」と「アイ・ガット・ア・メッセージ」というカントリー・ゴスペルっぽい自作曲ふたつと、甥っ子にあたるアイザック・テイラー作の「ビームズ・オヴ・ザ・クイーン」…という全14曲。

なんだか、ほっとします。そんな1枚。国内盤(Amazon / Tower)は来月みたい。

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