Disc Review

Back Alley Beats / Speakeasy Streets (Maldito Records)

バック・アリー・ビーツ/スピークイージー・ストリーツ

ジャケット見て、あー、なんだか面白そうなやつらだな…と、所属するマルディート・レコードってとこのサイトに行ってみたら、そりゃ、マルディートってくらいだからね、掲載されている文章が全部スペイン語だった(笑)。

てことで、理解不能。素性も何も、さっぱりわからんでした。こういうときはグーグル翻訳に頼るしかない。で、グーグルさまにお願いしてみたら、どうやらニューヨークのブルックリンを根城に、フランス、チリ、イスラエル、南アフリカ、そしてアメリカという多国籍メンバーが集まって結成したバンドらしいことが判明した。

なるほど、国境なき野郎どもね。なので、音楽的には往年のジャンゴ・ラインハルト&ステファン・グラッペリ的なジプシー・ジャズとか、キャバレー・ミュージック、ヴォードヴィル・ミュージックあたりを基調に、クレズマー、ポルカ、ズークなど様々な意味合いでエキゾチックな要素がびゅんびゅん刺激的に飛び交う中、パンク気分のラップが全編にくまなくぶちこまれている…みたいな。

彼ら自身はこのサウンドを、ジプシー・スウィング+ヒップホップってことで独自に“ジプ・ホップ”と名付けているのだとか。

ブロードウェイ事情に精通している我が友、水口正裕から以前ちょこちょこ話を聞かせてもらったミュージカル『迷子の警察音楽隊』にも出演していたイータイ・ベンソンや、マドンナがぞっこんってことでもおなじみ、ゴーゴル・ボルデロのペドリートもゲスト・ヴォーカルとして参加。多国籍感、超ジャンル感をいっそう盛り上げてみせる。

まあ、ほんと、それくらいしかわからないもんで。これ以上、特にインフォメーションはありませんが(笑)。とにかく、スクォーレル・ナット・ジッパーズとかビッグ・バッド・ヴードゥー・ダディとか、ネオ・スウィング・リヴァイヴァル期以降のグッド・オールド・タイム・ミュージック・アーティストに共通する乱暴な時空の歪ませっぷりが、やっぱり楽しい。

ヒップホップとの融合させ具合にしても、けっこうストレートというか、わりと“雑”というか。でも、その雑さがいい。あまり周到に“詰めて”いない感触に、むしろ好感が持てる。

ブルックリンの猥雑な裏通りで、時間の縦軸と地理的な横軸がぐしゃぐしゃに入り乱れるこの感じ。ごきげんです。音楽性のみならず、英語、フランス語はもちろん、ぼくには何語だかさっぱりわからない言葉(笑)まで、いろんな言語がぶわーっと渦巻いていて。根拠なき白人至上主義を振りかざしつつ醜悪な狼藉を働き続けてきたトランプ政権、悪夢の4年間がようやく終焉を迎え、それと入れ替わりにこういう刺激的な人種混交バンドが元気に台頭してくるのは、ほんとうれしい。

フィジカルのリリースはないみたいで、ストリーミング配信/ダウンロード販売のみですが。ご祝儀気分も含めて応援しまーす。

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