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Disc Review

Be True To Yourself / Joey Molland (Omnivore Recordings)

ビー・トゥルー・トゥ・ユアセルフ/ジョーイ・モーランド

出ました。ジョーイ・モーランドが Kickstarter を使ったクラウドファンディングで資金を募って制作された新作ソロ・アルバム。ソロ名義では2013年の『リターン・トゥ・メンフィス』以来かな。

元バッドフィンガー。創設オリジナル・メンバーというわけではないけれど、彼らがアイヴィーズという名前で活動をスタートさせて、やがてバッドフィンガーと改名することになった時期、1970年にギタリストとして加入して以来、途中ちょっと脱退していた数年間を挟んで、最終的には1981年まで在籍。亡くなったピート・ハムとトム・エヴァンスとともどもバッドフィンガーが独自のパワー・ポップ・サウンドを構築するうえで大いに貢献してきた。

アップル・レコード在籍時代、1970年のアルバム『ノー・ダイス』のころはまだ、ソングライターとしても、リード・シンガーとしても、ちょこっとだけ才能を披露していた程度だったけれど。翌年の『ストレイト・アップ』では一気に覚醒。「アイド・ダイ・ベイブ」とか「スーツケース」とか「スウィート・チューズデイ・モーニング」とか「サムタイムズ」とかトム・エヴァンスとの共作「フライング」とか、多くの自作曲を自身のヴォーカルで提供するようになった。1973年の『アス』でも半分くらいはモーランドの曲だった。ワーナー〜エレクトラ移籍後も着実に楽曲提供を続けていた。

確かにバッドフィンガーの代表曲はほぼすべてがピート・ハム作品ではあるのだけれど、彼らのアルバムのベーシック部分を支えていたのは間違いなくジョーイ・モーランド作品のほうだった気がする。

と、そんなモーランドさん、久々の新作。今回、共同ソングライター/プロデューサーとしてタッグを組んだのは、元ハドソン・ブラザーズの一員、マーク・ハドソン。エアロスミス、オジー・オズボーン、スコーピオンズなどから、シェール、リンゴ・スター、ハンソン、さらにはバハ・メンまで幅広いアーティストを手がけてきた。去年ようやく発掘リリースされたハリー・ニルソンの遺作もこの人の仕事だった。

というわけで、まあ、リンゴ・スター、ハリー・ニルソン…みたいな流れからバッドフィンガー、ジョーイ・モーランドに至るのは、なんとなく納得というか。このマーク・ハドソンの助けも借りながら、ジョーイ・モーランドが今は亡きピート・ハムやトム・エヴァンスの作風までをも取り入れつつ完成させた意欲的な新作、と。そういう感じだ。

曲の随所にバッドフィンガー的な記号というか、イディオムというか、引用というか、そういったマジカルな“フック”もふんだんに散りばめて。ファンを大いに喜ばせてくれます。ジュリアン・レノン、ウイングスのドラマーだったスティーヴ・ホリーといった広義のビートルズ人脈をはじめ、モンキーズのミッキー・ドレンツ、元シカゴのジェイソン・シェフら多彩な友人たちもサポート。

おー、バッドフィンガーじゃん! って感じのゆるいスライド・ギターとかも堪能できるし。キャッチーなリフも満載だし。なんか楽しい(笑)。

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© 2020 Kenta Hagiwara