Disc Review

Buffalo Springfield / Buffalo Springfield (Atco/Elektra)

バッファロー・スプリングフィールド/バッファロー・スプリングフィールド

バッファロー・スプリングフィールドのリマスター盤が出るらしいぞっ……というウワサを耳にして、今か今かと輸入盤屋さんへの入荷を待っていたのだけれど。

ようやく出ました。彼らのオリジナル・アルバム全種類出るのかと思ったら、とりあえず入手できたのはファーストだけ。CDナウに行って検索かけてみたら、ニュー・リリース扱いになっていたのはやっぱりこのファーストだけだったので、もしかしたら今回はファーストだけの再リリースなのかな。できれば他のやつも出ていてほしいなぁ。もしリリースされていて、入手できたらまた報告します。

まあ、彼らのアルバム群は基本的には全種CD化ずみ。その辺、パーソナル・チャートのページにも書いておいたので参照してください。ただ、1966年にリリースされたこのファースト・アルバムだけは、実はいろいろとややこしくて。収録曲が違う2バージョンのそれぞれステレオ盤とモノラル盤、計4種類の盤が存在するのだ。

スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイ、デューイ・マーティン、ブルース・パーマーという5人のメンバーが一所懸命レコーディングして、ミックスしたのはモノラル・ヴァージョン。これには、その後大ヒットするシングル曲「フォー・ホワット・イッツ・ワース」は入っていなかった。で、モノラルだけじゃナンだってゆーんで、レコード会社が勝手にそのステレオ・ミックスも作って、66年12月にモノ盤、ステレオ盤、それぞれをリリースした。

と思ったら、なんと「フォー・ホワット」が全米トップ10入りする大ヒットに。なもんで、急遽、元のファースト・アルバムから「ベイビー・ドント・スコールド・ミー」をカットし、代わりに「フォー・ホワット」を入れ、曲順をちょっといじった盤を制作。これもまたモノラル、ステレオ両盤作られて、67年4月に再リリースされた、と。ぼくたちがフツーに接していたのはこの67年4月ヴァージョンのステレオ盤だったわけだ。

でも、メンバー本人たちにしてみれば、実はいちばん思い入れがあるのは最初の、「フォー・ホワット」が入っていないモノラル盤なんだそうで。そうした事情から、今回の再発は、なんと66年12月に出た初回のモノラル盤の収録曲すべてと、67年4月に出た「フォー・ホワット」入りのステレオ盤の収録曲すべてをCD1枚に詰め込んでの登場。ブックレットには、ピンクの壁をバックにニール・ヤングがにかーっと笑ってる未発表フォトなども掲載されていて、楽しい。

バッファロー・スプリングフィールドというバンドは、同時代的には日本できちんとリリースされていなかったように記憶している。シングルとかベスト盤くらいは当時アトコ・レーベルを持っていた日本グラモフォン(現ポリドール)から出ていたと思うけれど、オリジナル・アルバムがちゃんと出たのは、70年代に入ってワーナー・パイオニア社ができてからだったと思う。ぼくもそのときに名盤の誉れ高き68年のセカンド・アルバム『アゲイン』を入手したのが最初。そこではじめて、はっぴいえんどのファースト・アルバムの歌詞カードに記載されていた手書きのデディケーションが『アゲイン』の真似だったことを知った。

そんなわけで、ぼくのバッファロー体験は、CSNYやポコ、あるいははっぴいえんど経由で歴史をさかのぼるようにしてすべて後追いでなされたものだった。それも、多少実験色の濃い『アゲイン』からの入門だったので、彼らの本来的な魅力にたどり着くまで少々回り道をしてしまった感触がある。

けど。今ならわかる。豊かな若い才能が、少なくとも3つ、同居するポップなフォーク・ロック・グループとしてのバッファロー・スプリングフィールドの本質は、やっぱりこのファーストにこそあるし、その後の各メンバーの活躍につながるより雄大な可能性の萌芽はサード・アルバムにあたる『ラスト・タイム・アラウンド』にこそあるのだ。

と、そんなことを考え合わせると、今回、充実した形で実現したこのファーストの再発は歓迎すべきかも。メンバーの思い入れが深いというだけあって、確かにモノラル・ミックスは絶妙のバランスだし。にかっと笑ってるニール・ヤングは気持ち悪くもかわいいし(笑)。バッファロー熱にまた火がついちゃいましたよ。

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