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Disc Review

Prove It on Me / Rory Block (Stony Plain Records)

プルーヴ・イット・オン・ミー/ローリー・ブロック

男だとか女だとか、そんなこと関係なく、現代最強のアコースティック・ブルース・ギタリスト/シンガーのひとり、ローリー・ブロック。

まあ、女性の年齢を云々するのはナンですが。もう70歳だとか。ベテラン。さすがに近年はツアーなどはせず、ライヴ関連では半引退状態らしいけれど。レコーディングのほうは21世紀に入ってからも絶好調。2006年のロバート・ジョンソンへのトリビュート・アルバム『ザ・レディ・アンド・ミスター・ジョンソン』に続いて、2011年からは“メンター・シリーズ”という企画でほぼ毎年1枚ずつ、サン・ハウス、ミシシッピ・フレッド・マクダウェル、レヴァランド・ゲイリー・デイヴィス、ミシシッピ・ジョン・ハート、スキップ・ジェイムス、ブッカ・ホワイトら偉大な男性ブルース・アーティストを讃えるアルバムを出して。

それらに続いて、今度は“パワー・ウィメン・オヴ・ザ・ブルース・シリーズ”を開始。2018年にベッシー・スミスに捧げた『ア・ウーマンズ・ソウル』をリリースした。で、今回、その第2弾、往年の女性ブルース・アーティスト複数への敬愛を炸裂させた1枚を届けてくれた。それが本作『プルーヴ・イット・オン・ミー』だ。

全10曲中、「イーグルス」という1曲だけがローリーさんが自らの思いを綴ったオリジナル。あとは、オープニングを飾る「ヒー・メイ・ビー・ユア・マン」がカウント・ベイシーのところで歌っていたことでもおなじみのヘレン・ヒュームズ、「イッツ・レッド・ホット」が1920年代のシカゴで短期間活動していたマドリン・デイヴィス、「イフ・ユーアー・ア・ヴァイパー」がやはりシカゴ本拠の“ザ・ヴァイパー・ガール”ことロゼッタ・ハワード、タイトル・チューン「プルーヴ・イット・オン・ミー」がご存じマ・レイニー、「アイ・シャル・ウェア・ア・クラウン」が盲目のゴスペル・シンガーであるアリゾナ・ドレインズ、「ウェイワード・ガール・ブルース」がカンザスシティのロッティ・キンブロー(ロッティ・ビーマン)、「イン・マイ・ガーリッシュ・デイズ」がメンフィス・ミニー、「ミルク・マン・ブルース」がザ・ヤス・ヤス・ガールことマーリン・ジョンソン、「マザーレス・チャイルド」がギタリストとしてもいい味出していたエルヴィ・トーマス…。

ヘレン・ヒュームズ、マ・レイニー、メンフィス・ミニーあたりはそこそこ有名だろうけど。他はさすがに名前くらいは知っているけれどよくわからないというか…(笑)。そこが今回のローリーさんの狙いだったのだろう。1920年代とか1930年代とか、女性がまだ家庭にしばられて、ほんの一部の稀有なアーティスト以外、自由に音楽活動などできなかった時代に、しかし自分なりのブルーな思いなりエモーションなりを歌声に乗せて解き放とうとしていた、そういう先達の存在に改めて目を向けたい、と。

オリジナル・ヴァージョンのアレンジをよく咀嚼したうえで、ローリーさんならではのアコースティック・ブルース・ギターを核に新たなリアレンジで聞かせてくれる。ベースもパーカッションも基本的にはローリーさんらしい。ホーンの躍動とか、ピアノの切なさとか、全てを自らのギターに置き換えて表現してしまう彼女の凄さを再確認できる。来月になると国内盤も出るみたいです。

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© 2020 Kenta Hagiwara