Disc Review

Lover / Taylor Swift (Republic)

ラヴァー/テイラー・スウィフト

昨日は昔の音楽仲間がやっているバンドのライヴを見るために茅ヶ崎まで。客席には当時のバンド仲間たちもたくさん詰めかけていて。楽しかったなー。とはいえ、ぼくが住む巣鴨から茅ヶ崎ってのはけっこう移動距離がでかくて。すっかり疲れてしまい、今朝は寝坊。起きたら高田純次がもう散歩してました(笑)。

てことで、今朝は、もう別にここで取り上げるまでもなく、すでに各所で大盛り上がりしているテイラー・スウィフトの新作を軽くピックアップしておきましょう。

地球上の大半の人と同様、ぼくはテイラー・スウィフトが大好きで。これまでもちょくちょく、様々な場で彼女に関する記事を書いたり、曲をかけたりさせていただいてきた。これまた有料記事で申し訳ないのだけれど、たとえば、これとかこれとか…読める環境にいらっしゃる方はチェックしてみてください。

まあ、長く応援し続けてきたおっさんファンゆえ、どうしてもデビュー当初の初々しかった時期の魅力に未練があるというか、こだわってしまいがちなのだけれど。それでも、カントリー・フィールドから巣立ってポップ・シーンに軸足を移してからの彼女にも抗えない。やっぱりごきげん。立ち位置が変わってからもいい曲書き続けているし。

キャッチーな歌詞を同じ音列に乗せて繰り返しながらコードだけくるくる変わっていくお得意のテイラー節は今回も健在。ふんだん。この手法、なんというか、主体にきっちりピントが合ったまま、周囲の風景だけが遠くなったり、近くなったり、フォーカスが甘くなったり、シャープになったり…。ものすごく映像的で、しかもキュート。大好きです。

ただ、こう、インスタグラムなどSNSを縦横に駆使する21世紀型セレブリティのクイーンとして君臨する今のテイラーだけに、アルバムが始まったとたん、メディアを賑わす近年の様々な確執を想起させるフレーズ満載の「アイ・フォーゴット・ザット・ユー・イグジステッド」が飛び出す。まあ、周囲のいろいろな雑音に心乱されているのもテイラーにとっては真実なのだろうし、それをそのまま赤裸々に曲にして乗り越えていくというのが彼女なりのスタイルだったりするわけで。仕方ない。なので、そういう歌詞は今回も随所に顔を出しはするのだけれど。

でも、テイラーはここ数年、英国人俳優のジョー・アルウィンとラブラブ。恋多き彼女にとって交際期間最長だとか。そんな気分を満載した曲もたくさん収録されていて。なんだか楽しくなる。ジョーの声までちらっと聞こえる「ロンドン・ボーイ」なんて、ずばりな楽曲まである。アルバム・タイトル曲の中には——

“ハニー、あなたのことを愛してから夏が3回過ぎたけど/でも、私はこれからの夏、全部がほしい…”

なんて歌詞もあって。で、タイトルが「ラヴァー」で。べったべた(笑)。ごちそうさまです。これはテイラーが単独で書いた曲。彼女の場合、ポップ・フィールドに転身してからはだいたい誰か他のソングライターとの共作が多かったのだけれど、今回は収録された全18曲中、テイラー単独で書いたものが3曲。いつもよりほんのちょびっとだけ多い感じ。ここも『レッド』以前のカントリー時代をほのかに思わせてくれる注目ポイントか。

残る15曲は、ジョー・リトル、ジャック・アントノフ、ルイス・ベル&フランク・デュークス、そしてセイント・ヴィンセントことアニー・クラークらとの共作。特にセイント・ヴィンセントと共作した「クルエル・サマー」って曲とか、けっこうやばい男女のあれこれを描いていて。これがいいアクセントをアルバムにプレゼントしている感じ。

もちろん他にももろもろの差別や偏見に対して真っ向から立ち向かう曲があったり、女性のパワーをアピールする曲があったり。

そんな中、個人的にいちばん感動したのが、ディクシー・チックスをゲストに迎えて録音された「スーン・ユール・ゲット・ベター」。現在闘病中のお母さんに捧げた曲なんだとか。生ギター、バンジョー、フィドルとチックスのハーモニーだけをバックに切々と歌われていて。くどいようだけれど、まだカントリー・フィールドに軸足を置いていた時代のテイラーに未練があるおっさんファンとしては、こういうのを聞くと泣けてきてしまうのだった。

そういえば、前述した「ロンドン・ボーイ」の中にも、まあ、英国との対比のためだとは思うけれど、“故郷が大好き。モータウンと同じくらい。南カリフォルニアも好き。スプリングスティーンを好きなことは知ってるよね。色あせたジーンズも。テネシー・ウィスキーも…”なんて歌詞があって。こういうところにもニンマリしたり。

“私は私が愛するものによって定められたい/憎んでいるものによってではなく/恐れているものによってでもなく/私は真夜中に私を苦しめるものを恐れている…”

アルバムの最後に収められたテイラー単独作品「デイライト」で彼女はそんなことを歌っている。想像もつかないけど。セレブ最前線は大変なんだろうなぁ。ほんと、この子には幸せになってもらいたいものです。

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