Disc Review

Tall, Dark & Handsome / Delbert McClinton & Self-Made Men + Dana (Hot Shot Records)

2019.07.30

トール、ダーク&ハンサム/デルバート・マクリントン&セルフメイド・メン+ダナ

このブログを訪れてくださっているような音楽ファンにならばたぶん説明不要なのだろうと思うのだけれど。デルバート・マクリントン。日本での知名度、どんなものかな? あんまり知られていない気がするな。

いちばん“へーっ!”って思ってもらえそうなのが、この人、ビートルズが「恋する二人(I Should Have Known Better)」でパクった元歌、ブルース・シャネルの「ヘイ・ベイビー」でハーモニカを吹いていて、1962年、シャネルの英国ツアーに同行した際、ジョン・レノンにブルース・ハープの何たるかをレクチャーしたことがある…というエピソードだろうか。

そんな超ベテラン。現在78歳。バディ・ホリーと同郷、米南部テキサス州ラボック生まれ。ロウティーンのころから地元のバー・バンドで活動し、サニー・ボーイ・ウィリアムソンⅡ、ハウリン・ウルフ、ライトニン・ホプキンス、ジミー・リードら錚々たるブルースマンたちのバッキングをつとめてきた。

その後、ザ・ロンデルズというバンドを結成して1965年にシングル「イフ・ユー・リアリー・ウォント・ミー、アイル・ゴー」をちょこっとだけヒットさせて。以降、自らアーティストとして地道に活動を続け現在に至る、と。

なんて偉そうにデルバート・マクリントンのキャリアを語ってますが(笑)。ぼくが初めてこの人のアルバムを買ったのはだいぶ後で。1978年。キャプリコーン・レコードから出た6枚目だか7枚目の『セカンド・ウィンド』って盤。オールマン・ブラザーズ・バンドの所属レーベルからのリリースってこともあり、折からのサザン・ロック・ブームに乗っかって国内盤も出たもんで。勢いで買ってみた。それが初。出会いだった。

これが、なんというか、不器用な初期ボズ・スキャッグスみたいな、実にソウルフルな仕上がりで。オリジナル曲に加え、ジェシ・ウィンチェスターやタジ・マハール、ハウリン・ウルフ、ジョニー・キャッシュなどのカヴァーも交えた選曲も渋く、かっこよかった。それでいろいろ調べて、この人の偉業がちょっとずつわかってきたのだけれど。

以来、新作が出ると必ずチェックしつつ、早40年(笑)。いまだにわくわく新作を待つことができている幸せを噛みしめております。1991年にボニー・レイットとのデュエット「グッド・マン、グッド・ウーマン」でグラミーを獲得したり、タニヤ・タッカーとのデュエット「テル・ミー・アバウト・イット」でカントリー・チャートを荒らしたりしたころからはぐっと知名度も上がり、21世紀以降は全米ブルース・チャートの常連に。

と、そんなデルバート・マクリントンの新作。2017年に出た前作『プリック・オヴ・ザ・リッター』同様、男性6人組バンド、セルフメイド・メンがバックアップ。女性サックス・プレイヤーのダナ・ロビンスを加え、“デルバート・マクリントン&セルフメイド・メン+ダナ”名義での1枚だ。今回のアルバムも最高にファンキー&スウィンギー。80歳近いじじいの新作とは思えません。

曲によって、ドクター・ジョンのようだったり、Tボーン・ウォーカーのようだったり、モーズ・アリソンのようだったり、ダン・ヒックスのようだったり、トニー・ジョー・ホワイトのようだったり…って、もう、例えがみんな故人ばかりだけれど。そういう人たちがかつて担っていた、米南部に眠る宝のような音楽性を今の時代に受け継ごうという役割をすべて背負い込んで雄々しく歩み続けている覚悟も感じる。

もちろん、今なお健在のランディ・ニューマンのようだったり、トム・ウェイツのようだったり、ヴァン・モリソンのようだったりする曲もあって。そういう、ある意味多彩な音楽性にひょうひょうと挑みながらも、しかし最終的にはすべてどうしようもなくデルバート・マクリントンである、という、まさにルーツ・ロックの生き証人とでも言うべき男の面目躍如といった感じ。

ごっきげんな新作です。

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