Disc Review

Originals / Prince (NPG/Warner Bros.)

2019.06.24

POriginals

オリジナルズ/プリンス

プリンスの没後に編まれた未発表録音集第2弾が登場した。

去年リリースされた第1弾『ピアノ&ア・マイクロフォン1983』は、その名の通り、1983年、自宅スタジオでカセットに録音されたプリンスによる未発表弾き語り音源集だったけれど。今回は81〜91年、プリンスが他アーティストに提供した楽曲をプリンス自らが演奏し歌ったオルジナル・デモ音源集だ。収録された全15曲中、「ナッシング・コンペアズ・トゥ・ユー(愛の哀しみ)」(もともとはザ・ファミリーへの提供曲。のちにシニード・オコナーがカヴァー)のプリンス・ヴァージョンのみ、去年の4月に配信ずみ。残る14曲が今回初出となる音源だ。

他の収録曲の提供アーティストを振り返っておくと——。「真昼のランデヴー」「ホリー・ロック」「グラマラス・ライフ」「ディア・ミケランジェロ」がシーラ・E、「ジャングル・ラヴ」「寂しいジゴロ」がザ・タイム、「SEXシューター」はアポロニア6、「メイク・アップ」はヴァニティ6、「マニック・マンデー」はバングルス、「100MPH」はマザラティ、「ユーアー・マイ・ラヴ」はケニー・ロジャース、「ベイビー、ユーアー・ア・トリップ」はジル・ジョーンズ、「愛がすべて」はマルティカ、「ラヴ・トゥ・ラヴ・ミー」はタジャ・セヴィル。

録音時期は前述の通り81〜91年。とはいえ、ジェイZが収録を強く進言したという91年録音の「愛がすべて」以外、81〜85年の音源だ。ということは、時期的に『1999』『パープル・レイン』『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』のころか。ある種、若きクリエイティヴィティがピークを迎えていた時代のパフォーマンスばかり。いちばん忙しかったであろう時期なのに、曲を書いて、ひとりでオケを完成させ、歌を入れて…。この人、ほとんど寝ないという噂があったけど、本当だったのだろうなぁ。

特にザ・タイムやシーラ・Eら、近しいペイズリー・パーク仲間たちに提供した楽曲群は本チャンもけっこうプリンスのデモ・パフォーマンスに忠実に仕上がっていたんだなということがわかって興味深い。プリンス側からそのまんま歌えと厳命されたのか、アーティスト側からの限りない敬意ゆえだったのか。実態をあれこれ想像しながら楽しむのも悪くない。そのあたりの曲はプリンス自身のアルバムに入っていてもおかしくない充実の仕上がり。

対して、たとえばケニー・ロジャースに提供した「ユーアー・マイ・ラヴ」とか、バングルスへの「マニック・マンデー」みたいな、プリンスのアルバムに入っていたらちょっと浮いちゃいそうなポップものこそが、しかし、こう、なんというか、逆説的にプリンスの雄大な才能を思い知らせてくれるようで。むしろ強く印象に残る。

ジル・ジョーンズのアルバムでは本人が単独で書いた曲としてクレジットされていた「ベイビー、ユーアー・ア・トリップ」も、やっぱり実はプリンス作だったのね。この曲とか「ラヴ・トゥ・ラヴ・ミー」とか、曲の良さがまた別角度から味わえたりして。なかなか興味深い企画盤。まあ、たとえば大滝詠一の提供曲セルフ・カヴァー集『デビュー・アゲン』とかと同様、亡くならなければ出ることもなかった1枚なんだろうなと思うと複雑ではあるものの…。

やっぱプリンス、この人の才能、底なしです。天井知らずです。改めて思い知ります。

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