スウィート・リリース/リース・ワイナンズ
悪いわけ、なし。
60年代にはディッキー・ベッツやベリー・オークリーとともにバンド活動。ボズ・スキャッグスをサポートしていたこともある。70年代にはキャプテン・ビヨンド、さらに80年代にはスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルのメンバーとして大活躍。他にもジェリー・ジェフ・ウォーカー、ラリー・カールトン、デルバート・マクリントン、ロス・ロンリー・ボーイズ、ジョー・イーライ、ダグ・サーム、ブルックス&ダン、トリーシャ・ヤーウッド、バディ・ガイ、ウィリー・ネルソン、キャロル・キングなど、無数のセッションに関わってきた超ベテラン・キーボード奏者、リース・ワイナンズが御年71歳にして初のソロ・アルバムをリリースした。
しつこいようだけど。悪いわけ、なし。
プロデュースはジョー・ボナマッサ。ワイナンズは現在、ボナマッサのバック・バンドに参加しており、その縁もあって彼が大先輩のプロデュースを買って出ることになったらしい。バックを固めているのは、ダブル・トラブル仲間のトミー・シャノン(ベース)とクリス・レイトン(ドラム)をはじめ、ボナマッサ、ケニー・ウェイン・シェパード、ウォーレン・ヘインズ、ドイル・ブラムホールⅡ、ジョシュ・スミス、ジャック・ピアソンら、そうそうたるギタリストたち。その他、サックスのポーリー・セラも参加。ワイナンズは歌わないので、曲によってサム&デイヴのサム・ムーアやマイク・ファリス、ボニー・ブラムレット、ジミー・ホール、ケブ・モ、ブラムホール、シェパード、ヘインズ、ボナマッサらがリード・ヴォーカルをつとめる。
ワイナンズがさまざまな時代、さまざまなミュージシャンと演奏してきた楽曲群を再訪するような選曲が泣ける。アルバム・タイトル・チューンはボズ・スキャッグス作品。オープニングを飾る「クロスファイア」をはじめ、「セイ・ホワット」「リヴィエラ・パラダイス」「ハード・トゥ・ビー」はレイ・ヴォーン/ヴォーン・ブラザーズ。「ザ・ドライヴィング・ビート」はウィリー・ミッチェル。「ユーアー・キリング・マイ・タイム」はニック・グラヴィナイティス/マイケル・ブルームフィールド。「シェイプ・アイム・イン」はザ・バンドのやつではなく、マーク・ベノ。「テイク・ザ・タイム」はレス・デューディック。「ソー・マッチ・トラブル」と「アイヴ・ガット・ザ・ライト・トゥ・ビー・ブルー」はタンパ・レッド。「ソウル・アイランド」はミーターズ。で、アルバムのラスト、ソロ・ピアノで綴られる「ブラックバード」はポール・マッカートニー。
選曲もばっちり。サザン・ロックはやっぱり米国の偉大な財産です。