Disc Review

Head Above Water / Avril Lavigne (BMG/Sony)

ALavigne

ヘッド・アバヴ・ウォーター/アヴリル・ラヴィーン

セカンド・アルバムの『アンダー・マイ・スキン』が出たころだから、もう15年くらい前の話だけれど。確か新宿で知人と待ち合わせしていたとき、どこかのビルの広告ビジョンにアヴリル・ラヴィーンの新作リリースのニュースが映し出されていて。爆音で流れるアヴリルの歌声が、新宿のわさわさした喧噪に妙にぴったり合うなぁ…と、胸がときめいたことを覚えている。

ここ数年は難病との闘いの日々。新作リリースがすっかり滞っていたアヴリルだったけれど。去年9月、シングルとしては3年半ぶりになる「ヘッド・アバヴ・ウォーター」をリリースして復活。私は私の人生と闘っているの、神様、私を溺れさせないで…という歌詞が強烈だった。12月にはアルバムのプリ・オーダーに合わせてさらなる新曲「テル・ミー・イッツ・オーヴァー」を披露。このパワー・バラードも個人的には大好きだった。でもって、ついに5年ぶりの新作アルバムが届けられた、と。

休止前のアルバムあたりには少なからず見え隠れしていた弱気な“迷い”も、病との闘いが彼女をさらに強くしたのか、すっかり吹っ切れたようで。まじ、痛快な仕上がりだ。なんだかうれしい。ソングライティング面では、ファーストで5曲ほどタッグを組んでいたローレン・クリスティを再び迎えて、今回も4曲を共作。この機会に自らの原点をあえて見つめ直し、それがいい結果に結びついたのかも。

最強の1曲はアルバム・リリースのほんの数日前に配信開始された「ダム・ブロンド」。これがごきげんにかっこいい。私は間抜けなブロンド娘じゃない、バカなバービー人形でもない、私は自分のゲームをするの、私をよく見て、見て、見て、あなたが間違っていると証明してみせるから…という勇ましいポップ・ロック・チューン。ニッキー・ミナージュをゲスト・ラッパーに迎えてガール・パワーを炸裂させている。

先日のグラミー賞の授賞式でも自立した女性たちから世の中に向けての強いメッセージが随所に盛り込まれていて興味深かったけれど、あの感触に近い、アヴリルなりの主張がアルバム全編を貫いている感じ。繰り返しになるけれど、難病との戦いが彼女に本当の自分らしさとは何なのか思い出させてくれたのだろう。

ジョーン・ジェットやアラニス・モリセットがそれぞれの時代に展開してみせたユニークな試行錯誤が、この人やピンクのがんばりを経由して、今のテイラー・スウィフトやレディ・ガガ、ケイティ・ペリーらによる活況へと連なるんだな、と。ちょっとその功績の大きさを再確認しました。アヴリル、ありがとね。そして、おかえりなさい。

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