キャピタリスト・ブルース/レイラ・マッカラ
リアノン・ギデンスを輩出したごきげんなストリング・バンド、キャロライナ・チョコレート・ドロップスのチェロ奏者としてもおなじみ、レイラ・マッカラのサード・アルバム。バンド時代からハイチ系としてのルーツ感覚あふれる音楽性と主張を曲に乗せて表現してきた彼女らしく、今回もそういう毅然とした仕上がりで。アルバム・タイトルからも想像できる通り、移民系の米国人として資本主義社会に暮らすなか否応なく体験するさまざまな不公平とか、息苦しいまでの“もっともっと…”感とかに、静かに、しかしきわめて躍動的に疑問を呈してみせる。
ニューオーリンズを本拠とするキング・ジェイムズ&ザ・スペシャル・メンのジミー・ホーンがプロデュース。ルイジアナ人脈とハイチ人脈、興味深いミュージシャンたちが交錯しながらじっくり熟成させた1枚だ。ニューオーリンズR&Bあり、カリプソあり、ブルースあり。エレクトリック・ギターのディストーションすらとことんルーツィに感じるから不思議です。