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Disc Review

American Beauty: The Angel’s Share / Grateful Dead (Rhino)

アメリカン・ビューティ:ジ・エンジェルズ・シェア/グレイトフル・デッド

前回、グレイトフル・デッドが1970年にリリースした名盤『ワーキングマンズ・デッド』の50周年記念エディションの発売を目前に控えた時期、それに先行する形でぼくたちの気分を大きく盛り上げてくれたのが『ワーキングマンズ・デッド:ジ・エンジェルズ・シェア』だった。

“エンジェルズ・シェア”というのはお酒関係の専門用語。ワインやブランデー、ウィスキーなどを熟成させている間に、水分やアルコールが蒸発して分量が減ってしまうことを、“きっと天使が自分の分を持って行っちゃったんだね。まさに天使の取り分、エンジェルズ・シェアだね…”とか言うらしく。それに引っかけて、『ワーキングマンズ・デッド』が熟成されていく中で蒸発してしまった天使の取り分、つまり、膨大なアウトテイク群を大奮発で64トラック、ストリーミングおよびダウンロード販売のみで公開したのが『ワーキングマンズ・デッド:ジ・エンジルズ・シェア』だった。

で、今回、デッドが『ワーキングマンズ・デッド』に続いて同じ1970年にリリースした名盤『アメリカン・ビューティ』の50周年記念エディションが11月1日に出る予定になっていて。その発売を前に、またまた出ました。“エンジェルズ・シェア”シリーズの第2弾。もちろんタイトルは『アメリカン・ビューティ:ジ・エンジェルズ・シェア』。

今回もまったく同趣向で。50周年記念デラックス・エディションのためのリサーチを続ける中、倉庫から発見/発掘された16トラックのアナログ・マルチ・テープに収められていた未発表レア音源を満載したストリーミング/ダウンロード・アルバム。まず冒頭に入っているのは、「ボックス・オヴ・レイン」を除く全収録曲のデモ・ヴァージョン。「ボックス・オヴ・レイン」がないぶん、ジェリー・ガルシアが1972年に出すファースト・ソロ・アルバムにやがて収められることになる「トゥ・レイ・ミー・ダウン」のデモが加えられている。

この10トラックのデモ音源は今月アタマからすでに先行ストリーミングされていたのだけれど。今日、10月15日にまたまた膨大なアウトテイク群が追加公開された。デモ10曲のあとを受けて、「ボックス・オヴ・レイン」のアコースティック・ミックス、「キャンディマン」の別テイク、「トラッキン」の別ミックスが続いて。

そのあと、途中で演奏をやめちゃったりする未完成テイクとか、歌なしの演奏テイクとか、アレンジ変更を打ち合わせるための試行錯誤テイクとか、もろもろ含めて、「オペレイター」が8トラック、「フレンド・オヴ・ザ・デヴィル」が22トラック、「アティックス・オヴ・マイ・ライフ」が6トラック、のちに「リップル」と改題されることになる「ハンド・ミー・ダウン」が7トラック。で、今回は計56トラックを収録。

もちろん、えんえん同じ曲の演奏が、しかも歌なしで、途中間違って止まったりしながら続くわけで。鑑賞するって感じとはまるで違うのだけれど。この“覗き見”感覚はファンにとってたまらない。「ボックス・オヴ・レイン」のアコースティック・ミックスとか、ジェリー・ガルシアがエレクトリック・ギター一本で弾き語る「アティックス・オヴ・マイ・ライフ」のソロ・ヴァージョンのデモ音源とか、なんとも興味深いし。スタジオでのトークバック越しの会話とかも多数で、臨場感たっぷりだし。

11月1日に出る予定の50周年エディションに向けて、これ聞きながら気分をアゲますよー。ちなみに本チャンの50周年エディションはオリジナル・アルバムの最新リマスター音源に加えて、1971年2月18日にキャピトル・シアターで収録された未発表ライヴ音源が収録されるのだとか。楽しみだー。

ちなみに、『ワーキング・マンズ・デッド』50周年エディションのとき同様、ぼくは通常のCDセットに加えて、アナログLPのピクチャー・ディスクも注文ずみでーす。デッドのサイトでのみ売り出していたカラー・ヴァイナルは今回もソールドアウトみたい。また買い逃した…。

まあ、いいや。とにかく、早く来い来い、11月!

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