オウド・トゥ・ママ・リッキー/ジョージア・アン・マルドロウ
プロデューサーとして、マルチ・インストゥルメンタリストとして、ビート・メイカーとして、ダドリー・パーキンスの相方として…などなど。多彩なフィールドで多様な活躍を続ける才女。本年2枚目のソロ名義アルバムが先月、出てました。
今年のアタマに出た『Vweto』はごきげんなインスト・アルバムだったけれど、今回はお母さんに捧げられた歌もの。ナウな表現で言えば、オーガニックでメロウ、みたいな? よくわかりませんが(笑)。70年代ソウル+フリー・ジャズ+ヒップホップという、この人ならではの得がたい持ち味がソウル寄りのバランスで全編を貫く仕上がりだ。
独特のスリリングなハーモニー・ワークも炸裂。心地よさを旋律やコード進行にではなく、くすんだ音像とか単発の和音の積み方とかボトムのぶっとい質感とか、そっちに求める今どきの、“New”じゃなくて“Nu”のほうのニュー・ソウル的アプローチは、ぼくのような旧世代ポップス・ファンには今いちつかみ所がなく、もどかしかったりすることも多いわけだけど。この人の場合はなぜだか素直に楽しめたりして。不思議なものです。理想的な空気の震わせ方ってやつを直感で知り抜いているのかな。