Disc Review

Guitar / Mac DeMarco (Mac's Record Label)

ギター/マック・デマルコ

来年2月の来日公演、ソッコーでソールドアウトしたそうで。やっぱ人気あるなぁ。マック・デマルコ。

本ブログでは過去、テックス・クリックのような、デマルコのプライヴェート・レーベル“マックズ・レコード・レーベル”からのリリースや、ベニー・シングスのようなデマルコさんの参加アルバムとかを紹介したことがあったけれど。本人の新作、ついに出ました。間にいろいろデモ盤とかインスト盤みたいなのがあれこれ出ていたものの、普通の歌入りオリジナル作としては2019年の『ヒア・カムズ・ザ・カウボーイ』以来。来日に向けて大いに盛り上がることでしょう。

これまでの、拗れたユーモア感覚みたいなものは音の表層から少し後退したかも。年齢的に30歳代半ばを迎えたってこともあるのかな。どの曲もひたすら自然体で、ミニマルで、のんびりしていて、でもそれゆえ音の隙間に多くが詰まったイマジネイティヴな音世界。行間の情緒が半端ない。

プレス・リリースでご本人は、“『ギター』は現在のぼくの人生を、今、紙に書き写せる形で、できる限り、ありのまま映し出したものだと思う”と語っていて。ちょっとだけ成熟した自己表現の結晶、的な? 時の流れとか、自身のルーツと向き合うこととか、そういったテーマを絶妙な距離感で語っている。

「ホーム」という曲では、“思い出がよみがえる/すぐにでも手放したい/故郷に戻るよりも前に…”とか歌っていたり。「パニッシュメント」って曲では“ぼくの家を焼き払え、準備はできている/後退することなく遡るんだ”みたいなことを歌っていたり。時間軸を巡って、けっこういろいろ揺れたりしている感触が印象的だ。

他にも「ホーリー」とか「テラー」とか「ファントム」とか「ナイトメア」とか、ちょっと精神世界っぽい深みに踏み込んでいるような曲が多いかも。「ロック・アンド・ロール」なんて曲でも、タイトルと裏腹に音楽の混沌とした内省の渦にのみ込まれていく様子が不安定に描かれていたり。

なんか、やっぱりすごい人だな。すごい音の詩人。いや、俳人?

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