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Disc Review

Super Monster / Claud (Saddest Factory/Dead Oceans)

スーパー・モンスター/クロード

米ブルックリンを本拠に活動する21歳の女の子シンガー・ソングライター、“クロード”ことクローディア・ミンツ。フィービー・ブリジャーズが設立したサッデスト・ファクトリー・レコードから、レーベルの契約第一弾アーティストとして初フル・アルバムをリリースした。

ぼくは全然ノーマークだったのだけれど、2018年、大学の友達、ジョン・メーリングと組んだ“トースト”というポップ・デュオでグリズリー・ベアのクリス・テイラーのテリブル・レコードからEPをリリースしたのがデビューにあたるらしい。その後、クロード名義で着実にシングルやEPを発表し続けて。やがてフィービー・ブリジャーズの耳にとまり、サッデスト・ファクトリーと契約。フル・アルバムが完成した、と。そういう流れ。

ぼくは去年の暮れ、「ソフト・スポット」という先行トラックのひとつを聞いたのが初クロード体験で。クコとか、あの辺に通じる、今どきの内省的なベッドルーム・ポップのクリエイターとしてちょっと気になる個性だなと思って。少しさかのぼってバンドキャンプで旧作にも触れてみたのだけれど。

もちろん、ぼくみたいなおっちゃんがこの世代の女の子の気持ちとかに心底共感できるはずもなく(笑)。主に歌詞の世界に関しては思いきり客観的に接するしかないわけだけれど。ドリーミーなコード進行とかみずみずしいメロディ感覚とかにはある種のエヴァーグリーンなものが感知できて。それがぼくのような世代の心にも生き続ける青春の記憶を刺激。離れがたい魅力をそこはかとなく感じたものです。

今回の初フル・アルバムでもその感触は変わらず。ただ、面白いことにこのアルバム、ニューヨークの名門スタジオ、エレクトリック・レディで制作されているらしく。なんか、ベッドルーム・ポップというと、そういう外部の現実社会との交わりから隔絶された部屋のコンピューター内で完結しているイメージもあるのだけれど、それとはひと味違う、どこか開かれた音世界が楽しめる。

どうしてもヴァーチャルになりがちなベッドルーム・ポップにフィジカルな手触りを持ち込む…という試行錯誤に関しては、たとえばクレイロが一昨年、ダニエル・ハイムと組んで聞かせてくれた音とか、あの辺にも共通する感触なのだけれど。それをジミ・ヘンドリックスが創設した伝説のエレクトリック・レディ・スタジオで実現するという、こう、もう1枚わかりやすいレイヤーを重ねてきた感じ? それが楽しいのだ。

おかげで、各収録曲が画一的な音像にちんまり収まることなく、曲ごとの個性をきっちり主張している感じの仕上がり。こういう方向性がベッドルーム・ポップという特異なジャンルにとっていいことなのか悪いことなのか、その辺微妙ではあるけれど。クロードという優れたソングライターの多彩な世界観を実現するうえではナイスな判断。

そのクレイロとクロードは“シェリー”というユニットも組んでいるそうで。シェリーとしてもアルバムのクロージング・ソング「フォーリング・ウィズ・ザ・レイン」をパフォームしている。Instagramからブレイクした超注目の女の子ギタリスト、メラニー・フェイも「ザッツ・ミスター・ビッチ・トゥ・ユー」って曲に参加。ジェンダーがドリーミーに交錯する「アナ」って曲にはブルックリンの先輩ベッドルーム・ポッパー、ニック・ハキムがフィーチャリングされてます。

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