
プア・ガール/チョチキー
面白いもので。ある日、ノージくんが、「ねえねえ、このバンド、面白くない? どっかで聞き覚えがあるバンドなんだけど…」と、あるビデオを見せてくれた。
それ見て、「あ、俺も昨日、散歩しながらPasteのプレイリスト聞いてて、その曲に出くわして、お気に入りマークつけたとこだった」と。
いやー、気が合いますな的な? で、面白いバンドがいるもんだと、あれこれチェックし直してみたら。
知ってました。ぼくもノージも(笑)。思い出しました。
去年、ぼくが編集長をつとめさせてもらっているオンライン音楽誌『エリス』の41号で、大滝詠一師匠に関する原稿をダリアン・サハナジャに頼んだとき、そのメイン原稿の傍ら、執筆者全員がそれぞれ個人的なおすすめ盤を紹介するコーナー“ヒビノオト”でダリアンが取り上げてくれていたのが、このバンドでした。
で、二人して、「あっ、そうだ。思い出した。いいに決まってるじゃんねー」と笑い合ったのでした。夫婦そろってボケてただけか。情けない。ほんと、最近は何でもかんでもすぐ忘れる。笑ってる場合じゃないかも。気をつけなきゃ。
というわけで、二度と忘れないよう、ブログでも取り上げておきます。チョチキーって読むのかな。チャーチキ? よくわかりませんが。もともとイディッシュ語というかスラブ語というか。いろいろ転じて、かわいい小物とか雑貨みたいなものを現す言葉らしく。キュートなネーミングですが。
去年『エリス』にダリアンが書いてくれた、彼女たちのセルフ・タイトルド・ファースト・アルバム(2022年)に関する紹介文をこちらにも引用しておくと——
このオール・ガール・バンドを僕に紹介してくれたのは、友人であり(現在お気に入りのバンドでもあり)、このアルバムのプロデューサーでもあるレモン・ツィッグスだ。変幻自在の音域を誇るリード・ヴォーカル/ドラマーのアナスタシアが歌うクァーキーなテーマを持つ歌詞からは、怒れるガール・グループのエッジが感じられる。いうならば、ケイト・ブッシュ・ミーツ・シャングリラズ。でも何よりもすごいのは、彼女たちの音楽家としての力量とプロダクションだ。ポップなフック、抜群のハーモニー、卓越したミュージシャンシップ満載のこのデビュー・アルバムを、僕は何度すでに聴いたことか。2年経ってなお、「Wish You Were A Girl」は僕のお気に入りポップ・ソングだ。
とのこと。
ぼくとノージが盛り上がったのは、そんな彼女たちのニュー・シングルでした。今回は思いきりビーチ・ボーイズ感に満ちたシャッフル・ナンバーで。ダリアンが紹介してくれていた通りの個性をここでも存分に、のびのび発揮してます。
おっきな瞳のドリー、泣いてるクリッシー、絶対つかまったことがないスージー・スリッカーなど、かわいそうな女の子たちを主人公に、不思議な言葉遊びみたいな歌詞をキュートに、ポップに、歌い綴っているわけですが。メンバー3人の共作曲。素晴らしい。
9月にニュー・アルバム『プレイン・ダム』がリリースされる予定だとか。期待しちゃおうかなー。忘れてたくせに、とか言われちゃいそうだけど(笑)。