Disc Review

Weight of the World / Joe Louis Walker (Forty Below Records)

ウェイト・オヴ・ザ・ワールド/ジョー・ルイス・ウォーカー

ジョー・ルイス・ウォーカー。1949年生まれだから、現在73歳か。1986年、37歳のときに遅咲きのデビューを飾ってから今年でちょうど37年。レコード・デビュー以来の歳月がちょうど人生の半分に到達した節目のタイミングでの新作、出ました。

デビューは遅かったものの、しかし以降はアリゲーター、ストーニー・プレイン、テラーク、ヴァーヴ、JSP、クレオパトラ、プロヴォーグなど様々なレーベルを渡り歩きながらわりとコンスタントにアルバム・リリースを継続。21世紀に入ってからも10枚以上は出しているはず。連名でのリリースも多い。2020年に本ブログでも取り上げたディオンのアルバム『ブルース・ウィズ・フレンズ』みたいに、客演した作品もたくさん。各地のブルース・フェスとかにもばりばり出演して、歌って、ギター弾きまくって。元気なブルース&ソウルおじいちゃんです。

この人、サンフランシスコ生まれで、十代のころにいわゆる“フラワー・ムーヴメント”を体験した世代。なもんで、ちょっと年下のロバート・クレイなどと同様、そういう世代ならではの柔軟な感覚を活かし、ブルースの伝統的フォーマットに縛られすぎることのない、多彩なジャンルの音楽性を積極的に取り込みながらのびのび活動を続けている。

というわけで、フォーティー・ビロウ・レコードからの初リリースとなる今作ものびのび。フォーティー・ビロウやプロヴォーグといったレコード・レーベルでジョン・メイオールやウォルター・トラウト、フリーディー・ジョンストンらと仕事しているエリック・コーンのプロデュースの下、独自のソウルフルな持ち味を炸裂させている。

全曲、ウォーカーさんとコーンさんがそれぞれで、あるいは共作で書き下ろした作品。昨日紹介したラリー&テレサ同様、ニューヨーク系の腕ききミュージシャンを従えてのウッドストック録音だ。ストレート・ブルースはなし。スワンプ・ロック感覚、サザン・ロック感覚、カントリー・ロック感覚、サザン・ソウル感覚、ニューオーリンズR&B感覚、ゴスペル感覚、そしてちょっぴりのジャズ感覚なども貪欲に取り込んだルーツ・ミュージック総まくり的な音作りが痛快です。

オープニングを飾るアルバム・タイトル・チューンでは、のっけからパンデミック、インフレ、温暖化などで歪みだしている世界の現状を嘆してみせる。“世界の重みが肩にのしかかって動けない/この世界の端っこがたわみ始めている…”と。なるほど、これが現代のブルースってことなのかも。

もちろん、ウィリー・ミッチェルっぽいホーン・セクションを伴いつつ、去ろうとしている恋人に行かないでと嘆願する「ドント・ウォーク・アウト・ザット・ドア」みたいな定型っぽい歌詞の曲もあるし。メッセージ性とパーソナルな思いとの混在具合もいい感じ。

6月にかけてツアーにも乗り出したみたい。夏に向けてブルース・フェスへの出演も目白押しだろう。ますますお元気で、ね。

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