Disc Review

Saratoga / Eddie 9V (Ruf Records)

サラトガ/エディ9ヴォルト

1996年6月生まれというから、今28歳か。まだまだ若い。なのに、古い(笑)。ブルース・ロックというか、サザン・ロックというか、白人ながら伝統的なブルース/R&Bに真っ向から挑む姿勢が気持ちいいソウル野郎、エディ・9ヴォルトことブルックス・メイソン・ケリー。本ブログでは2021年に出たサード・アルバム『リトル・ブラック・フライズ』を取り上げたのが最初で。そのあと、去年のアタマに『カプリコーン』ってのが出て。

で、これ。ライヴ盤も含め通算5作目のフル・アルバム『サラトガ』。出ました。ただ、今回はかなり意識的に音楽的な幅を広げたような仕上がりで。ちょっと驚いた。

過去、タコマ・スタジオとかカプリコーン・スタジオとか憧れの地に出向いて思いを炸裂させるレコーディングを展開してきたエディ・9ヴォルトだけど。今回は実の兄弟で、かつ南部音楽シーンでミュージシャンとして活躍しているレイン・ケリーをアトランタの自宅スタジオに招いてのレコーディング。収録曲のほぼすべてがレインとの共作曲だ。

レインがベースやキーボードを担当するなど、大部分の演奏を兄弟ふたりでこなしたらしいが、ホーンやフィドル、ラップ・スティールなどはゲスト・プレーヤーに頼っている。その辺のダビングや一部のレコーディングはデンバーのスタジオでも行われたみたい。

もちろんほろ苦いヴィンテージR&B調あり、スウィートなミディアム・スロウ・ソウル調あり、グルーヴィなディスコ調あり、しかし今回はそこにオルタナ・フォーク調とか、コズミック・カントリー調とか、多角的な眼差しが加わった。

1曲、マック・デマルコの「チェンバー・オヴ・リフレクション」カヴァーが入っていて。これは去年、シングルでリリースされたものだけれど。デマルコ・ヴァージョンのふにゃふにゃサイケに浮遊するシンセサイザーをホーンに置き換え、エレクトリック・ピアノをいい感じに配し、ぐっとソウル寄りに仕上げてみせていて。目の付け所にしびれました。

とはいえ、どんなタイプの曲だろうと、俺が歌えばそれはソウルさ、と。そう言わんばかりの不敵な佇まいが全編を貫いていて。憎い。てことで、はい、今回もかっこよかったです。

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