Disc Review

Like Someone I Know: A Celebration of Margo Guryan / Various Artists (Sub Pop)

ライク・サムワン・アイ・ノウ:ア・セレブレイション・オヴ・マーゴ・ガーヤン/ヴァリアス・アーティスツ

マーゴ・ガーヤンについては、彼女が亡くなった2021年と、今年の4月、CD2枚組アンソロジーが編まれたときと、本ブログでも取り上げさせてもらった。なので、彼女のざっくりした歩みなどについてはそのあたりのエントリーを参照していただきたいのだけれど。

そんなマーゴさんへのトリビュート・アルバム、出ました。

クレイロとか、ケイト・ボーリンジャーとか、パール&ジ・オイスターズとか、ベドウィンとか、本ブログでもちょいちょい取り上げてきたアーティストをはじめ、トップス、ラヒール、ジューン・マクドゥーム、ムーニャ&カイナル、フランキー・コスモス、エンプレス・オヴ、バリー、マーゴ・プライスら、なかなかに魅力的な新鋭中心の女性アーティスト、あるいは女性をフィーチャーしたバンドなど12組がマーゴ・ガーヤン作品をそれぞれの切り口でカヴァーして聞かせてくれる。

彼女たちがカヴァーして聞かせてくれるのは、マーゴが1968年にリリースした唯一のオリジナル・アルバム『テイク・ア・ピクチャー』の収録曲11曲をまるごとそのままの曲順で。で、ラストに2001年のレア音源集『24デモズ』で初お目見えした1曲を加えた全12曲。以前TikTokでバズったという「ホワイ・ドゥ・アイ・クライ」にも誰か挑んでほしかった気も、ちょっとだけするかも。

たぶん参加している全員、『テイク・ア・ピクチャー』が出たときには…いや、ヘタすると1990年前後にマーゴさんの再評価の機運が高まったときにもまだ生まれていない世代ばかりだと思うけれど。そういう世代ならではの眼差しが新鮮。静謐なハーモニー感覚に着目する者もいれば、バロック・ポップ的な感触に踏み込む者もいる。ハイパーな奥行きを表現する者も、ロマンティックな内省に思いを馳せる者も、サンシャイン・ポップ的な透明な高揚感を提示する者も、ローレル・キャニオン期のシンガー・ソングライター的な深みを掘り下げる者も…。

今どきのベッドルーム・ポップ的なアプローチを基本に多彩な音作りが交錯してはいるのだけれど、どのヴァージョンも背後には間違いなくマーゴ・ガーヤンならではの世界観が横たわっていて。なんだか理想的な追悼/トリビュート・アルバムに仕上がっています。

本作の売り上げの一部は、リプロダクティブ・ヘルス(生殖医療)サービス普及支援のために寄付されるとのこと。

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Sub Pop
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