Disc Review

Dream / Martina DaSilva (feat. Josh Turner, Allison Young & Sonny Step) (La Reserve Records)

ドリーム/マルティナ・ダシルヴァ(feat. ジョシュ・ターナー、アリソン・ヤング&ソニー・ステップ)

深夜のテレビ観戦。バスケと柔道。どっちもそれぞれの意味合いでしびれる試合だったなー。すっかり寝不足の朝ですが(笑)。

そこに至るまで、昨夜もチャンネルくるくる渡り歩きつついろんな競技をあれこれ見続けていたところ。途中ちょっとだけ飽きて、ちらっとマツコの番組に寄り道。見るともなく見ていたら、最新のDTM事情みたいなこと取り上げていて。

まあ、地上波のゴールデンタイム番組だから。ものすごく初歩的な情報提示のみ。とりあえず今の時代、音楽の作られ方も大きく様変わりしていて、楽器なんか弾けなくても、歌なんか歌えなくても、コンピュータと鍵盤を使えばどんな音でも作れるし、どんなに速いビートでも楽々構築できるし、歌も入れられるし…。すべてひとりっきりで完結させることができる。むしろひとりのほうがいい。既成の音楽理論、音楽技術にまったく縛られることなく、誰にも邪魔されず、ひとりの感覚だけを全うした新しい音楽が作れるのだ、と。

それが新しい音楽の在り方で、たくさんの人がその動向を歓迎し、盛り上がっている…みたいな、番組はそんな状況をプレゼンしていたような。テキトーに流し見していたので詳細は違っているかもしれませんが。いずれにしても、なるほどそういう時代だよな、音楽そのものも変わってはくるよな、と改めて感じつつ。でもこの方向性、ごくごく当たり前のことではありますが、楽しめる人は存分に楽しめばいいんだし、ぼくみたいな古希目前のおっちゃんはその盛り上がりを邪魔することなく、遠巻きに別の場所で別の楽しみを満喫していればいいんだよな、とも再確認。

やっぱりおっちゃんとしては昔ながらの合唱・合奏がいいのだ。好きなのだ。しびれるのだ。ザク切りポテト&ビーフ ブラックペッパークリームチーズもいいけど、やっぱりシンプルなチーズバーガーが最高だな、みたいな? 違うか(笑)。最新トレンドの華やかで斬新なメニューも楽しいけど、俺はやっぱり白米+味噌汁がいちばんだぜ、と。そういう感じ。

いや、繰り返しますが、これ、別に近年のDTMを否定しているわけではないですよ。それもありだとむしろ全肯定したうえで、でも、ぼくは個人的に昔ながらの、人力による合唱とか合奏のほうがやっぱり好きだなー、と。そういう思いをマツコの番組見ながらまた新たにした次第です。

番組によれば、そういうDTMの担い手どうしのセッション的な試みもあるということで。合奏の在り方すら時代とともに様変わりしていくのかもしれないけれど。要するに何でもありなわけで。てことは、別に最新のものばかりが正解ということでもなく、当たり前のことだけど、選択肢として昔ながらの手法にあえてこだわることも全然OK。なので、そういう音楽の在り方を担うミュージシャンも、そういう活動を支えるファンも、ともにいなくならないでほしいものだな、活動しやすい世の中であり続けてほしいものだな…と、心から祈るばかり。

まあ、本ブログではずっと騒いでいるレイヴェイとか、レイチェル&ヴィルレイとかも含め、今のところそういう志向を持った若い世代もそこそこいるみたいので、しばらく大丈夫そうかなと楽観してはいますが。

そんなこと考えつつ、今年の3月に出たマルティナ・ダシルヴァのシングルを遅ればせながら今朝はイチオシしておきます。件の番組見終えたとき、なんだかこの曲がふっと頭に浮かんできたもんで、いつものニュー・リリース紹介はちょっとお休みして、これ、1曲だけ紹介させてください。

マルティナさんはグッド・オールド・タイミーなアーリー・ジャズ・バンド“ザ・レディバグズ”とか、ベーシストのダン・シミリンスキーとのデュオ・ユニット“シミーティナ”とかでのマニアックな活動でも知られるジャズ・ヴォーカリスト。そんな彼女がそれぞれソロでも活躍しながら、ザ・バイゴーンズというデュオ・ユニットも組んでいるアリソン・ヤング(この子もノスタルジックな音楽ファンには大人気)とジョシュ・ターナー、そしてフィラデルフィア出身のサックス/ヴォーカル、ソニー・ステップことマイケル・スティーヴンソンをゲストに迎え、ザ・パイド・パイパーズが1944年にヒットさせたジョニー・マーサー作の超名曲「ドリーム」を、ほぼオリジナルに忠実にコーラスしております。

5月に出たミニ・アルバム『リヴィング・ルーム(プティ)』(Amazon / Apple Muisc / Bandcamp)にも収められていました。どっちもデジタル・リリースのみでフィジカルはないみたい。アナログ盤でほしいけどな…。

こういうのも今やコンピューターとキーボード使えばできちゃうのかな。ブレスの感触などまで数値化して入力することとかもできそうだし。でも、そんなんじゃなく、目の前で同じ空気を震わせながらのアンサンブルってのにこそ聞くぼくたちの胸も高鳴るのだと固く信じて、これからも古かろうが新しかろうが、いい音楽を探してゆく所存でございます(笑)。

合唱、合奏、フォーエヴァー!

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