ジャパニーズ・シングル・コレクション〜グレイテスト・ヒッツ〜/バングルス
かねてからあちこちで書き散らかしてきたことではありますが。ぼくはガール・グループやガールズ・バンドが大好きなのでした。女の子たちが複数集まって歌ったり踊ったり演奏したりする無敵のフォーマット。なんだか刹那な感じもちらほら漂って、いい。たまらない。
1960年代にフィル・スペクター、ジェフ・バリー&エリー・グリニッチら有能なプロデューサー/ソングライターの下、ロックンロール誕生以降のポップ音楽のノウハウを凝縮したヒットを連発したロネッツ、シフォンズ、クリスタルズ、シャングリラスとか。1970年代後半のパンク/ニュー・ウェイヴの激流を受けて登場したラナウェイズとかゴーゴーズとかベル・スターズとか。グランジ/オルタナティヴの波の中からデビューしたL7とか。ソウル系のソルト・ン・ペパー、アン・ヴォーグ、TLCあたりからデスティニーズ・チャイルドまで至る流れも楽しかった。日本でもおかわりシスターズとかおニャン子みたいなタイプから、GO-BANG’S、Super Junky Monkey、プリプリ、SPEED、LIP’S…様々なパターンのガール・グループ、ガールズ・バンド、あれこれ楽しませてもらってきました。
もちろんハロプロものはもちろん、48とか46とか、あの辺以降の動きも気になるし、NiziUとかBLACKPINKとかNewJeansとかもかっこいいけど。おじさんとしてはやっぱり1980年代までの洋楽ものかなぁ…。
まあ、厳密にどうこういう話ではなく、ざっくりした無責任な感触でしかないのだけれど。ガール・グループ〜ガールズ・バンドの場合、背後のスタッフワークみたいなものまで視野に入れつつ楽しみやすいというか。たとえば、ロネッツの歌声の彼方にフィル・スペクターの狂気を感じとったり、アン・ヴォーグのコーラスの裏側にフォスター&マッケルロイの手腕を聞き取ったり、TLCのおてんばさとメロウさが交錯するグルーヴの背後にダラス・オースティンやベビーフェイスの存在が見え隠れしたり…。
でも、ごきげんなガールズたちは、そうしたプロデューサー/ソングライターたちの思惑など無意識のうちに軽々と超えて自分なりの個性を炸裂させちゃうこともあったりして。そういう瞬間を味わえたときの胸の高鳴りがまた最高なわけですが。
で、この人たちも大好きだったなー。バングルス。本ブログではちょいちょい取り上げさせてもらっているスザンナ・ホフスが在籍していた…あ、いや、今も再結成して活動中なので過去形ではなく、“在籍している”か…。まあ、そういう女子4人組。
この子たちの場合も、背後にデヴィッド・カーンとかビリー・スタインバーグとかトム・ケリーとかプリンスとか、そういうプロデューサー/ソングライターたちの色がそこそこ的確に流れてはいるのだけれど。同時に4人のメンバーがその辺をうまく利用しながら、奔放に、多彩に、楽しみまくっている感触もあって。わくわくさせられたものです。
1981年、ロサンゼルスで結成。レイン・パレードやドリーム・シンジケートなどと同じ、いわゆるペイズリー・アンダーグラウンド・シーンで、西海岸系ギター・ポップを基調に、中期ビートルズや初期バーズあたりの手触りをまぶしたサウンドで人気を博して。インディーズからデビューした後、メンバーチェンジなども経て1983年に米コロムビアとメジャー契約した。しばらくはチャートと無縁の活動を続けていたものの、1985年になってプリンスが変名で提供した「マニック・マンデー」が全米2位にランク。以降、「エジプシャン(Walk Like An Egyptian)」(1位)、サイモン&ガーファンクルのカヴァー「冬の散歩道(Hazy Shade Of Winter)」(2位)、「イン・ユア・ルーム」(5位)、「胸いっぱいの愛(Eternal Flames)」(1位)など、1989年にかけてヒットを連発した。
と、まあ、このあたりは特に不要な説明か。すみません。自作曲にこだわりすぎることなく、エミット・ローズとかアレックス・チルトンとかジュールズ・シアーとかの曲も飄々とカヴァーしちゃう感じも好きだった。そんな彼女たちの最新ベストCDが今日ご紹介する『ジャパニーズ・シングル・コレクション〜グレイテスト・ヒッツ〜』なのでありました。
これまで、ブルース・スプリングスティーン、ビリー・ジョエル、ワム!、アース・ウインド&ファイアー、ホイットニー・ヒューストン、シンディ・ローパー、ボズ・スキャッグス、ハワード・ジョーンズ、チープ・トリック、ケニー・ロギンス、REOスピードワゴン、エア・サプライ、ポール・ヤングらの盤が編まれてきた人気シリーズの最新盤。
バングルスの盤はCD+DVDの2枚組で。CDには1984〜91年、米コロムビア・レコード在籍期に日本で発売されたバングルスおよびスザンナ・ホフスの全シングルを、発売順にUSシングル・ヴァージョンで収録。12インチ・エクステンデッド・ヴァージョンなども含めて全20曲。で、DVDにはミュージック・ビデオを14曲。世界初DVD化ものもあり。この子たち、ヴィジュアルも楽しいから。うれしい。当時の日本のソニー・レコードのスタッフの証言なども含むライナーや、全曲のシングル盤ジャケットの複写による分厚いブックレット付きです。
ノーランズの盤と同時発売ってことで。ノーランズもまたガール・グループ・ファンとしては見逃せない存在だから。両盤とも入手して、楽しさマックスな夏の日ですよ。