Disc Review

Easy Tiger / Kitty Liv (Sunday Best Recordings)

イージー・タイガー/キティ・リヴ

英ロンドン出身の3きょうだい(姉兄妹)バンド、“キティ、デイジー&ルイス”が話題になりまくったのはもう15年くらい前? 朝霧ジャムとかフジロックとかにもやってきて、若いくせにごきげんにエヴァーグリーンなR&B〜ジャンプ・ブルース〜ロカビリー〜ホンキー・トンク・カントリー感覚を炸裂させて日本の音楽ファンをぶったまげさせてくれたものですが。

末妹のキティのソロ活動が始動! ちょうどフジロックでもソロで来日したみたいだけど。アルバム、出ました。両親も含めた音楽一家による手作り感が微笑ましかったキティ、デイジー&ルイスの諸作と比べると、サポート・ミュージシャンなども的確に起用して、わりときっちり作り込まれた1枚。ぐっとソウルっぽいニュアンスの濃度を高めたのも新味で。パフォーマーとしても、ソングライターとしても、成長ぶりを見せつけてくれる。

とはいえ、けっしてクールに収まりきっていないのは、ヴィンテージ機材マニアとしておなじみのお兄ちゃん、ルイス・ダーハムが共同プロデュースを含め全面バックアップしているからかな。なんとモーグやドラム・マシーンを使った曲まで入っていて驚くのだけれど、それもまたばっちりアナログな手触りに貫かれていて。よいです。

アコースティック・ギターの軽快なカッティングとストリングス・セクションの浮遊感に満ちたアンサンブルだけをバックに綴られた曲とかもあって。いい感じ。

コロナ禍も含む5年の歳月をかけて完成に至った1枚なのだとか。この間、ちょうどキティさんは新たな恋と出会い、幸せな時を過ごし、やがてすれ違い始め、つらい別れへ…という日々を過ごしたらしく。そうした愛と喪失をめぐる心情も反映された曲作りという意味ではシンガー・ソングライター的なニュアンスも楽しめるかも。

今回フジロックにソロで来日したのに続いて、来年早々には単独での来日ツアーも決定したみたい。今回、キティさんはドラムを叩かずギターとヴォーカルに専念するらしい。ドラムはミステリー・ジェッツのジャック・フラナガン。ベースはもちろんルイスお兄ちゃん。楽しみっすね。

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