Disc Review

Chaos Angel / Maya Hawke (Mom+Pop Music)

ケイオス・エンジェル/マヤ・ホーク

もう『ストレンジャー・シングス』でおなじみの…とか、そんな説明は必要ないのかな。2022年のシーズン4でも、まじ、いい活躍を見せていたロビン役のマヤ・ホーク。

最近だとレナード・バーンスタインをモデルにしたブラッドリー・クーパー監督/主演映画『マエストロ』での娘さん役もよかったし、こちらはまだ未見ながら父親イーサン・ホーク監督によるフラニー・オコナーのバイオピック『ワイルドキャット』では主演をつとめているみたいだし。着実に女優さんとしても成長を続けているマヤさん。

音楽家としての活動も継続中。本ブログでは2020年のファースト・アルバム『ブラッシュ』が出たときから盛り上がらせていただいきましたが。次作、2022年の『モス』を挟んで、きっちり2年ごとのペースを守りつつ新作サード・アルバムを届けてくれた。それが本作『ケイオス・エンジェル』。

『ブラッシュ』は父親イーサン・ホークの友人だというジェシー・ハリスが、『モス』はベンジャミン・ラザー・デイヴィスが、それぞれプロデュースしていたけれど。今回もマヤさんは『モス』から引き続きラザー・デイヴィスとタッグ。やはり前作でいいコンビネーションを展開していたクリスチャン・リー・ハトソンとウィル・グレーフェも参加している。

マヤならではの、ちょっとこじれた心の日記をささやくように綴る感触はそのまま。でも、少し音作りのパレットの幅が広がったみたい。ざっくりと乱暴に言えば、あー、テイラー・スウィフトとかエイドリアン・レンカーとかジェイムス・ブレイクとか大好きなんだろうなぁ…という思いが随所から伝わってくる仕上がりではあるのだけれど。

冒頭を飾る「ブラック・アイス」という曲では、淡々としたワルツを奏でるピアノに乗せて“嘘をつかずに秘密が守れるの?/おやすみを言わずにベッドに入れるの?”とか“電話しながらテレポートで戻ろう/この空港のラウンジって「そうね」とささやきながら人生をあくびするみたいな感じ…”とか、印象的なフレーズをつぶやいた後、“Give up, be loved, give up, be loved”、つまり“あきらめなさい、愛されなさい”ってことかな、そういうラインが繰り返されて。

すぐれた女優さんであることも含めて、とにかくストーリーテラーとしての魅力と底力にやられます。今回はギンズバーグの引用とかもあったりして。いろいろな意味で時を超えてくれるところがうれしいし頼もしい。俳優と音楽家、両輪でどんどん成長していってほしいものです。

なんか日本のAmazonではデジタル・リリースのみで、まだフィジカルを扱っていないみたいだけど、ヴァイナルも含めてちゃんとフィジカルも出てます。今月下旬には国内盤も出るみたい。邦題は『カオス・エンジェル』とギリシャ語読み+英語読みですが。まあ、それは仕方ないか。

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