Disc Review

Saviors / Green Day (Reprise)

セーヴィアーズ/グリーン・デイ

通算14作目。1994年のデビュー・アルバム『ドゥーキー』と、2004年の大傑作『アメリカン・イディオット』。この歴史的な2作をプロデュースしたロブ・キャヴァロと再びタッグを組んでのリリースだ。2012年の3連作『ウノ!』『ドス!』『トレ!』以来のコンビネーションってことになる。

オープニングを飾る「ジ・アメリカン・ドリーム・イズ・キリング・ミー」とか、もうタイトルからしてやばい。深刻な分断がすべての人を引き裂き、苦しめているアメリカの四面楚歌状況をぶちまける。轟音グルーヴと美麗ストリングスが入り乱れるアレンジもごきげんだ。

“おかしな日々が続くぜ/誰もが差別主義者/ウバーはいつでも遅れてる/ユーモアのセンスもなくなった/Z世代がベビー・ブーマーを殺している/おかしな日々が続く…”と歌われる「ストレンジ・デイズ・アー・ヒア・トゥ・ステイ」には“ボウイが死んでから何もかもが変わった”という必殺の1行が…。「リヴィング・イン・ザ・20s」に出てくる“俺はメディアを呑み込んでゲロにして吐く”というフレーズも強烈だ。

かと思えば、キュートなコード進行が泣ける「スージー・チョップスティック」みたいな往年のパワー・ポップ調もあるし。「ファーザー・トゥ・ア・サン」のような、まるでボブ・ディランの「フォーエヴァー・ヤング」みたいな曲もあるし。音楽的にぐっと深みを増した表現もあり、もちろんいつまでたっても全然変わらない悪ガキ系の魅力というものもあり。

ビリー・ジョー・アームストロングは『セーヴィアーズ』が『ドゥーキー』と『アメリカン・イディオット』との間にあるギャップを埋めることになるかもしれない…的なことを語っているけれど。なるほど。30年前の『ドゥーキー』と20年前の『アメリカン・イディオット』と、その両者には当然ながらある種の成長というか成熟が確実に横たわっていたり、バンドとしての立ち位置に変化が見られたり。でも、本作はその両者のちょうど真ん中辺というか。中間地点というか。あの傑作アルバム2作を改めてがっちりコネクトしてみせてくれる、ある種の“答え合わせ”的な存在のような。そんな感じか。

そしてラスト、“俺は狂っちゃいない/お前こそ狂ってる/みんな狂ってる/ラリってダラけて/いつか若くして死ぬ/誰もが若くして死ぬ/真っ昼間、月に吠える/夕方にはニュース/ごきげんなアニメだから/カルトに入信/宙返り/誰もが犠牲者/吐き気がする”と歌い上げるパワー・バラード「ファンシー・ソース」でアルバムは幕を下ろすのでありました。

日本盤にはその後1曲「フィーヴァー」がボーナス追加されているけど、「ファンシー・ソース」で終わるほうがやっぱりアルバムとしては正解って感じかな。でもボーナスも欲しいから、とりあえず日本盤ゲットして、聞くときはラス前でいったん止めて、アンコール感覚で「フィーヴァー」を楽しむ、とか?(笑)。

そういえば、今度の“セーヴィアーズ・ツアー”ではなんと『ドゥーキー』と『アメリカン・イディオット』の全曲演奏をそれぞれぶちかまして、さらに本作を含むその他の作品を演奏するという3部構成なんだって? まじか!

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