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Nothing But Pop File, vol.86: I'm in L-U-V with Mary Weiss, the voice of the Shangri-Las

NBPファイル vol.86:追悼 メアリー・ワイス(ザ・シャングリラス)

ビリー・ジョエル、16年ぶりの来日コンサート、素晴らしかったっすねー。今朝もまだ昨夜の東京ドームの余韻にひたりつつ仕事にならない……なんて方、多いのでは?

音楽的にもパフォーマンス的にも素晴らしすぎて、語りたいことがたくさん。一夜限りということもあってかアリーナというかグラウンドレベルに客詰め込みすぎっぽく、チケットの高額さに比して鑑賞環境が劣悪すぎ、これまた語りたいことがたくさん(笑)。全編満喫しましたが、個人的には特に「ドント・アスク・ミー・ホワイ」のイントロでふと聞かせたピアノ版ベートーベン交響曲7番2楽章とか、「ニューヨークの想い」のエンディング、リヴェラと二人でやりとりしながら奏でたロジャース&ハート作品「マンハッタン」とか、そういうコマネタに思いきり震えました。やー、ニューヨークやねー。

とにかく1949年生まれ、現在74歳というビリーさんの健在ぶりに圧倒された一夜ではありました。ほんとすごい人だなぁ。

が、一方で、ほぼ同世代、ひとつ上の1948年生まれの素晴らしいパフォーマーが先日75歳で他界したという悲しいニュースも飛び込んできて。メアリー・ワイス。1960年代に一世を風靡したガール・グループ、ザ・シャングリラスのリード・シンガーですが。1月19日、カリフォルニア州パーム・スプリングスの自宅で慢性閉塞性肺疾患のために亡くなった。きっと同じニューヨーク出身のアーティストとしてビリー・ジョエルも悲しんでいることでしょう。

というか、彼女たちの最初のビッグ・ヒット「リメンバー」のデモ・セッションでピアノを弾いていたのが、当時まだ無名の若きセッション・ピアニスト、まだ十代半ばのビリー・ジョエルだったという話もあり。真偽のほどは知らんけど…(笑)。

シャングリラスは1960年代にブームを巻き起こしたガール・アイドル・シーンでちょっと珍しい“バッド・ガール”イメージのグループだった。メアリーとベティのワイス姉妹と、マージとメアリー・アンという双子のガンザー姉妹によってニューヨークのクイーンズで結成。そんな彼女たちのちょっと不良っぽいイメージってのをより輝かせていたのがデビュー当時15歳だったメアリー・ワイスのキュートなルックスとソウルフルな歌声。やはり自身けっこうなバッド・ガールだったらしきソングライター、エリー・グリニッチなど、メアリーこそが当時の音楽シーンで本当の仲間だったと語っていたっけ。

ベティ抜きの3人でテレビ出演している映像などが多く残されていることもあって3人組と思われているきらいもあるけれど、正式には4人組。ただし、ベティが抜けている時期があったり、マージとメアリー・アンが交互に抜けた時期があったり…。そういう意味では基本的にフロントを張り続けたメアリー・ワイスこそがシャングリラスそのものだったとも言える。

ジョージ“シャドウ”モートンや、ジェフ・バリー&エリー・グリニッチなど、有能なソングライター/プロデューサーの下、1964年から1966年にかけてティーンエイジャーならではの溌剌とした恋愛模様だけでなく、悲劇などもテーマに盛り込んだドラマチックな楽曲を次々ヒットさせた。重厚なオーケストレーションや効果音などを交えた音作りも特徴的だった。

ところが、所属するレコード会社が潰れちゃったり、シャドウ・モートンと交わした最悪な契約がもたらした訴訟問題に巻き込まれたり。グループは解散し、しかしメアリー・ワイスは法的に縛られてソロ活動することもできず、仕方なく大学の授業を受けながら秘書として働いた後、建築業界入り。ニューヨークの建築会社の経理部勤務を経て、業務用家具のディーラーになったとか。その道でけっこうな成功を収めたみたい。

で、ようやく2007年にソロ・アルバム『デンジャラス・ゲーム』を出したりもしたけれど、本格的に音楽シーンへと復帰することなく、先日、75歳で他界。

でも、シャングリラスがいなければ、のちのゴーゴーズも、ブロンディも、キム・ゴードンも、エイミー・ワインハウスもなかった。女性アーティストだけでなく、ラモーンズやニューヨーク・ドールズをはじめとするパンク期のバンドたちもなかった。

というわけで、スロウバック・サーズデイ恒例NBPプレイリスト、今週はシャングリラスが1960年代に放った全米ホット100ヒットの中からメアリーがリード・ヴォーカルをとっている曲を集めてみました。彼女たちの代表曲は1996年に編まれた『The Best of the Shangri-Las』をはじめ、いろいろなコンピレーションで楽しめるので、ぜひ一家に1枚、揃えておいてほしいものですが。その中からベティやメアリー・アンがリードをとっているものを外して、チャートインした曲に絞りつつ、でもそれだと10曲しかないので(笑)、シングルB面曲もふたつ追加したセレクションです。

十代のメアリー・ワイスならではのおてんばな歌声、聞きながら彼女を偲びましょう。メアリー、どうぞ安らかに…。


I'm in L-U-V with Mary Weiss

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  1. Remember (Walkin' In the Sand) / The Shangri-las (1964 US #5)
  2. Leader of the Pack / The Shangri-las (1964 US #1)
  3. Give Him a Great Big Kiss / The Shangri-las (1964 US #18)
  4. Out In the Streets / The Shangri-las (1965 US #53)
  5. Give Us Your Blessings / The Shangri-las (1965 US #29)
  6. Heaven Only Knows / The Shangri-las (1965 Single B-Side)
  7. Right Now and Not Later / The Shangri-las (1965 US #99)
  8. The Train from Kansas City / The Shangri-las (1965 Single B-Side)
  9. I Can Never Go Home Anymore / The Shangri-las (1965 US #6)
  10. Long Live Our Love / The Shangri-las (1966 US #33)
  11. He Cried / The Shangri-las (1966 US #65)
  12. Past, Present & Future / The Shangri-las (1966 US #59)
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