ウィー・リヴ・イン・ストレンジ・タイムズ/イアン・M・ベイリー
英プレストン出身のポップ・シンガー・ソングライター、イアン・M・ベイリー。シャーロット・ニューマンとのデュオ“ザ・ロスト・ダヴズ”としての活動も英インディーズ・ファンには知られているかも。2021年以降は、グラスゴーの遅咲きポップ職人、コズミック・ラフ・ライダーズのダニエル・ワイリーとタッグを組んで毎年1枚ずつソロ・アルバムのリリースを続けてきているけれど。
今年も新作、出ました。
これまでも1960年代的な音楽要素を軽くまぶしたポップな音作りが特徴的だったベイリーさん。3作目となる今作ではその方向性がさらに本格化。ジャングリーなギター・ポップ、パワー・ポップ、フォーク・ロック、バロック・ポップ、サイケデリック・ロックなどの要素に愛溢れるアプローチを仕掛けてみせた。それらの要素をより巧みに取り込みつつマイルドに融合。独自のポップ・ロック・サウンドを編み上げている。
1曲を除いて、今回もソングライティングはベイリー&ワイリー。ベイリーがほとんどの楽器をひとりでこなして、アラン・グレッグソンがストリングス、キーボード、ラップ・スティールなどでお手伝い。ベイリーのホーム・スタジオ“スモール・スペース・スタジオズ”でレコーディングされた。
基本的に1960年代後半から1970年代初頭にかけての米カリフォルニア・サンシャイン・ポップっぽい音作りが展開されていて。ジャングリーなギターと陽光を感じさせるハーモニーとに溢れてはいるのだけれど。背後にどこか英国っぽい翳りのようなものがちらつくのがベイリー&ワイリーの持ち味か。ザ・バーズとムーディ・ブルースの合体、みたいな?(笑)
今回もプログレっぽいような、初期オールマンズっぽいような、謎のインストが入っていたりしますが。それも含めて1960年代後半の感触満載。けっして明確に問題意識を託した歌詞世界ではないけれど、どこか環境破壊への警鐘が感じられたり、自然回帰への思いがほのかに漂っていたり…。ストレンジな時代を生きる者ならではの表現ってことか。
フィジカルはクール・キャット・ミュージックのWEBストアで売ってるような売ってないような…(笑)。オーダーしてみよっかな。