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Disc Review

Hate for Sale / Pretenders (BMG)

ヘイト・フォー・セール/プリテンダーズ

クリッシー・ハインド姐さん。女性に年齢は…とか、よく言われるものの。女性だ男性だと区別するのもこの人にはなんかしっくりこないので、書いちゃいます。現在、68歳。9月に69歳になる。最近のおじちゃん、おばちゃんはもちろんみんな元気だとはいえ、輪をかけて勢いがあるというか。現役感、半端ない。かっこいい。

そんなクリッシー姐さん率いるプリテンダーズの新作。もともとは5月にリリース予定だったけれど、これまた新型コロナウイルス禍のゴタゴタで発売が延期され、本日、7月17日にようやく出ました。

プリテンダーズ名義では、ブラック・キーズのダン・オーバックをプロデュースに迎えた2016年の『アローン』以来、4年ぶり。11作目。ただ、『アローン』をバックアップしていたのは主にセッション・ミュージシャンで。プリテンダーズのメンバーでレコーディングに参加していたのはクリッシー姐さんだけ。ソロ・アルバムみたいなものだった。その前に出した盤は2014年の初ソロ作『ストックホルム』だったし。去年出したのも、独自の切り口でスタンダード・ナンバー中心にカヴァーしてみせた意欲的なソロ作『ヴァルヴ・ボーン・ウォー』だったし…。

そういう意味では、2008年の『ブレイク・アップ・ザ・コンクリート』以来のプリテンダーズってことになる。しかも、『ブレイク・アップ…』にはドラマーのマーティン・チェンバースが参加していなくて、ジム・ケルトナーが代わりに叩いていたから。オリジナル・メンバーのひとりでもあるチェンバーズが入ったアルバムとしては、さらに遡って2003年の『ルーズ・スクリュー』以来。

まあ、とにかく、ものすごく久しぶりのプリタンダーズだぞ、と。そういうことです(笑)。だからすごくうれしい。盛り上がってます。

今回はブラーとかとの仕事で知られるスティーヴン・ストリートがプロデュース。クリッシー(ヴォーカル、ギター)、ジェイムス・ウォルボーン(ギター)、カーウィン・エリス(キーボード)、ニック・ウィルキンソン(ベース)、そしてマーティン・チェンバーズ(ドラム)という、ツアーを続ける現在のラインアップでのレコーディングだ。全曲をクリッシーとジェイムス・ウォルボーンが共作している。ある意味、現在のプリテンダーズの姿を初めてありのまま捉えたスタジオ・アルバム、と。そんな1枚だ。

ハードでスピーディなロックンロールであるアルバム表題曲で幕開け。初期の名曲「キッド」を想起させるトゥワンギー・ギターと切ないコード進行がごきげんな「ザ・バズ」が続いて。冒頭2曲で、もう大満足。さらにシャープなレゲエ・グルーヴを取り入れた「ライトニング・マン」が続いて、乱暴なシャッフル・ナンバー「ターフ・アカウンタント・ダディ」がきて、ちょっと自伝的な内容なのかなと思わせるバラード「ユー・キャント・ハート・ア・フール」へ…。

この「ユー・キャント・ハート・ア・フール」では、“本物の愚か者はルールを守らないのよ”とか“もっとましなことを知るには歳をとりすぎている/でも、そんな年齢のわりに幼なすぎる”とか、自虐的に、やさぐれ気味に、歌っていて。しびれる。

ジャングル・ビートっぽい「ディドゥント・ウォント・トゥ・ビー・ジス・ロンリー」とかラストを締めくくるバラード「クライング・イン・パブリック」とかもいい。正直、新味はまるでないけれど、変わっていないってことを思い知らせてくれるだけで素晴らしい。アルバム中盤、ちょっとダレる感じもいかにもプリテンダーズっぽくて…(笑)。

全10曲、30分ちょいって長さもロックンロール!

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© 2020 Kenta Hagiwara