
フィール・グッド/ジェイミー・ワイアット
米ロサンゼルス出身のシンガー・ソングライター。まあ、ざっくり括ればカントリーの人なわけですが。
2017年のファースト・アルバム『フェロニー・ブルース』ではアメリカーナ寄りのカントリー・ロックを聞かせて、2020年のセカンド『ネオン・クロス』ではシューター・ジェニングスやジェシー・コルターの助けも借りつつ、いわゆるアウトロー・カントリー方面にシフトして。
で、今回。3作目でまたちょっとだけ方向転換。なんとブラック・プーマズのエイドリアン・ケサダをプロデューサーに迎え、テキサス州オースティンへ。ダスティ・スプリングスフィールドの『ダスティ・イン・メンフィス』方面というか、ボビー・ジェントリー方面というか、ダン・ペン方面というか…。つまりカントリー・ソウル。そっち方面に一気に接近した感じだ。
このアプローチ、ジェイミーさんに合っているかも。ケサダはお得意のサイケなギターはもちろん、ブルージーにキメたり、トワンギーなバリトン・ギターを聞かせたり…。かっこいい。
全11曲中、「アルシア」だけグレイトフル・デッドのカヴァー。あとはジェイミーさんのオリジナルだ。曲ごとにネオ・ソウル系のジョシー・ソウルをはじめ、ブッチ・ウォーカー、オースティン・ジェンキンス、カイル・ライアン、ライアン・ハートマン、カイル・エガート、ニック・ウェルズなど様々なソングライティング・パートナーの名前がクレジットされているけれど、これ、つまり事前にかっちり曲を作り込まず、スタジオにミュージシャンを招いて現場でやりとりしつつ作り上げた楽曲たち、ということらしい。
悲しみ、癒やし、自己愛、成長みたいなテーマと、率直に向き合った1枚。願わくばこの路線をしばらく突き詰めていってもらいたいものです。