Disc Review

Llegó Navidad / Los Lobos (Rhino/Warner)

ジェゴ・ナヴィダ/ロス・ロボス

ロックンロールを含むアメリカン・ポップスの世界には多くのクリスマス・ソングが存在している。過去、様々なポップ・スターたちが様々な時代に様々なクリスマス・ソングをリリースして、毎年毎年、それぞれに違ったクリスマスの表情を素敵に演出してきてくれた。

“橇もない。トナカイもいない。大きな袋も抱えていない。でも、俺は君のために黒塗りのでかいキャデラックに乗って町に帰ってくるぜ”と歌うエルヴィス・プレスリーの「サンタクロース・イズ・バック・イン・タウン」。サンタクロースの橇を車に見立て軽快に弾けるビーチ・ボーイズのホットロッド・クリスマス・チューン「リトル・セイント・ニック」。カーペンターズの美しい多重コーラスに彩られた「メリー・クリスマス・ダーリン」。ジョン・レノンが平和への願いをストレートに訴える「ハッピー・クリスマス~戦争は終わった」。ロック界の奇人、ロイ・ウッド率いるウィザードが“毎日がクリスマスだったらどんなに楽しいだろう”とムシのいい願いを歌う「クリスマス・エヴリデイ」。ワム!のひたすらおセンチな「ラスト・クリスマス」…。きりがない。

今や檻の中の囚われ人となった奇才プロデューサー、フィル・スペクターが1963年にリリースした『ア・クリスマス・ギフト・フォー・ユー』も“1年中聞けるクリスマス・アルバム”として名高いし。他にも、ベンチャーズ、フォー・シーズンズ、チップマンクス、スプリームス、ジャクソン・ファイヴ…素晴らしいクリスマス・アルバムを残したポップ・スターはそれこそ無数だ。あのゴッドファーザー・オヴ・ソウル、ジェームス・ブラウン親分も、なんと真っ赤なサンタの服に身を包み“サンタクロース・ゴー・ストレート・トゥ・ザ・ゲットー!”とシャウトしていた。

今年もそこにたくさんの新たなクリスマス・アルバム/ホリデイ・アルバムが加わった。そのあたりを集めて、今週、ぼくがDJをつとめるラジオ番組『Music SMiLE』では“今年出たクリスマス・アルバム特集”を放送中。シカゴ、ケイシー・マスグレイヴズ…と毎日1枚ずつ紹介してきて、昨日はこの盤、かけました。ロス・ロボスの『ジェゴ・ナヴィダ』。アルバム・タイトルは“クリスマスがやってきた”という意味のスペイン語だとか。いいすね。なんだか楽しい。イーストLAのチカーノ・コミュニティから生まれ、テックス・メックス=テキサス/メキシコ国境付近の超魅力的な混淆音楽の担い手としてごきげんな活躍を続けてきた彼らのクリスマス・アルバム。悪かろうはずがない。

書き下ろし曲はひとつ。デヴィッド・ヒダルゴ&ルイス・ペレス作のスウィートなティアドロッパー系バラード「クリスマス・アンド・ユー」のみ。あとはカヴァーなのだけれど。北米、中米、南米すべてに目を配り、クリスマス〜ニュー・イヤー・シーズンに合いそうな150曲くらい候補曲を集めてそこから選び抜いたものばかりだとか。さすが、ハマり度ばっちりだ。

オープニングを飾る「ラ・ラマ」のようなトラディショナル曲の他、フレディ・フェンダーの「イッツ・クリスマス・タイム・イン・テキサス」、ホセ・アルフレード・ヒメネスの「アマルガ・ナヴィダ」、ホセ・バロスの「アルボリート・デ・ナヴィダ」、オーギー・リオスの「ドンデ・エスタ・サンタクロース」、ハヴィエール・ヴァスケスの表題曲、ウィリー・コローン&エクトール・ラヴォーの「ラ・ムルガ」、ハヴィエール・ソリスの「レガロ・デ・レジェス」、そして超おなじみホセ・フェリシアーノの「フェリス・ナヴィダ」。

クリスマスは寒いもの…というイメージが強いけど、南方のクリスマスってのもご陽気度がぐんとアップしてわくわくします。

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