Disc Review

Juliana Hatfield Sings ELO / Juliana Hatfield (American Laundromat Records)

ジュリアナ・ハットフィールド・シングズ・ELO/ジュリアナ・ハットフィールド

もう5年前になるのか。2018年、ジュリアナ・ハットフィールドがいきなりオリヴィア・ニュートン=ジョンのカヴァー・アルバムを出して。ずばり『ジュリアナ・ハットフィールド・シングズ・オリヴィア・ニュートン=ジョン』。これがやけにいい仕上がりだったもんで。当時DJを担当していたラジオ番組でソッコー、ジュリアナのアルバムも含めてオリヴィア特集を組んじゃったりしたっけ。

なんでもジュリアナさんにとってオリヴィアは子供のころの憧れだったとかで。その思いをわりと素直に表明した仕上がり。自分のカラーも維持しつつ、でもけっして必要以上に自己主張せず、代表曲からマニアックなものまでいい塩梅に取り混ぜつつ好きな曲を選んで、原曲の感触を壊すことなく歌い綴っている感じが素敵だった。

本人も楽しかったのか、その後2019年には、オリジナル・アルバム『ウィアード』に続いて今度はポリスのレパートリーをカヴァーした『…シングズ・ポリス』を出して。で、今回。2021年のオリジナル・アルバム『ブラッド』を間に挟んで、ELO、エレクトリック・ライト・オーケストラのカヴァー・アルバムを届けてくれた、と。

年齢を云々するのはナンですが。ジュリアナさんももうアラカンちょい手前というか、そんな感じだと思う。オリヴィア同様、ELOも子供のころにラジオで聞きまくった世代。ということで今回もファン感覚全開で、けっこうな代表的ヒットからマニアックなところまで、またまたいい塩梅の選曲で聞かせてくれる。

曲順通り初出アルバムを振り返っておくと、「スウィート・イズ・ザ・ナイト」が1977年の『アウト・オヴ・ザ・ブルー』、「見果てぬ想い(Can't Get It Out Of My Head)」が1974年の『エルドラド』、「ショウダウン」が1973年の『第三世界の曙(On the Third Day)』、「ストレンジ・マジック」が1975年の『フェイス・ザ・ミュージック』、「ドント・ブリング・ミー・ダウン」が1979年の『ディスカヴァリー』、「テレフォン・ライン」が1976年の『オーロラの救世主(A New World Record )』、「シークレット・メッセージ」が1983年の同名アルバム、「青い鳥は絶えたのか?(Bluebird Is Dead)」が再び1973年の『第三世界の曙』、「エンド・オヴ・ザ・ワールド(From The End Of The World)」が1981年の『タイム』、そしてラストの「オーディナリー・ドリーム」が2001年の『ズーム』という内訳。

まんべんないというか、初期から後期の再結成ものまで、適度に有名曲を交えつつの、でもけっこうなマニアぶりが発揮された選曲。それを相変わらずキュートな歌声で、やはり原曲の手触りを壊さず、かといってELOのジェフ・リンほどにはコーラスやストリングスやシンセで音を塗り込めることもなく、ジュリアナさんならではのオルタナ・テイストはキープしながらカヴァーしているのだから。好感度マックス!

思えばオリヴィアのカヴァー・アルバムでもELOとの共演ヒット「ザナドゥ」を取り上げていて。その続編的な感触もあり。くどさ薄めのELO名曲集って感じ?(笑) お散歩のBGMに重宝しそう。

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