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Disc Review

Happy in Hindsight / Bertolf (Excelsior Recordings)

ハッピー・イン・ハインドサイト/ベルトルフ

西ヨーロッパのジェフ・リンって感じ?

オランダのシンガー・ソングライター、“ベルトルフ”ことベルトルフ・レンティンク。元ザ・ジューンズというバンドの中心メンバーで。2009年からソロで活動。これまでに5作のソロ・アルバムをリリースしてきた。で、今回出た『ハッピー・イン・ハインドサイト』が6作目。新型コロナのパンデミック下、自宅の庭にある小屋でほぼすべての楽器をひとりでこなしながら多重録音した1枚らしい。

ドラムだけ共同プロデュースを手がけたフランス・ハーヘナース(で、読み方いいのかな。Frans Hagenaars)が自身のスタジオでダビング。ひとつ前のアルバム『ビッグ・シャドウズ・オヴ・スモール・シングズ』あたりと比べると、ルーツィなアメリカーナ色が抑え気味になって、よりポップでキュートな仕上がりを見せている。てことで、世界各国どの国にもひとりはいる、その国その国のジェフ・リンというか、その国その国のエミット・ローズというか。そういう色合いがぐっと強まった。

もちろん、バンジョーが淡々と刻むミディアム・ビートの下、ブルーワー&シップリーというかマンゴ・ジェリーというか、その辺の味を想起させるカントリーっぽい「ドント・ルック・アップ、ドント・ルック・ダウン」みたいな曲もあるし、軽快なカントリー・ロック・サウンドに乗せて持ち前のジャクソン・ブラウンっぽい歌声で綴る「ミズリー・マグネット」みたいな曲もある。先日亡くなったトニー・ライスのことも尊敬していたそうで、そうした思いを形にした「ユーアー・ノット・ゴナ・ゲット・イット・エヴリデイ」みたいなアコースティック・ギター・チューンも…。

でも、今回の基本路線は、ELO、ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、バーズ、トッド・ラングレンら1960年代〜1970年代の偉大な英米ポップ・クリエイターたちの影響を色濃くたたえた、キュートで、マジカルな音世界のほうだ。でも、一見陽気に感じる表層に反して、どの曲にも背後に奇妙な憂鬱が漂っているようで。そうした手触りも魅力的だ。フォー・フレッシュメン的な一人アカペラ「ウィー・ドント・ゲット・アロング」から、1960年代後半のビーチ・ボーイズを思わせる組曲っぽいラスト・チューン「サンデイ・チャイルド」へという流れも泣けます。

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