Disc Review

Geist / Shannon Lay (Sub Pop Records)

ガイスト/シャノン・レイ

インディ・ロック・バンド、フィールズのギタリスト/シンガーとして、あるいはタイ・セガールのフリーダム・バンドの一員としても活動するシャノン・レイ。近年はソロ・パフォーマーとしての活動も活発で。2017年にインディ・レーベル“ドゥ・ノット・ディスターブ”からファースト・ソロ『オール・ジス・ライフ・ゴーイン・ダウン』を出して、続いて“ウッジスト”からセカンド『リヴィング・ウォーター』を、そして2019年に“サブ・ポップ”に移籍してリリースした傑作サード『オーガスト』…と、順調にリリースを重ねて。

で、今回、やはりサブ・ポップからソロ4作目となる新作『ガイスト』が出た。

シャノンさんは、ウッジストの主でもあるブルックリンのバンド、ウッズのジャーヴィス・タヴィニエールのスタジオでベーシックとなるナイロン弦ギターとヴォーカルをレコーディング。その音をベン・ボイエとデヴィン・ホフという二人の有能なマルチ・インストゥルメンタリストに送付し、シンセサイザー系とか、オートハープとか、ベースとかで音像を構築してもらって。さらにそこへタイ・セガールのエレクトリック・ギターや、ワンドのソフィア・アレギン、ヒートウォーマーのアーロン・オシームのキーボードをオーヴァーダビングして…。

そうして完成したのが本作『ガイスト』の静謐かつ緻密な音世界、というわけだ。

弾き語り基調の繊細な歌声と、透明感に満ちた多重コーラス・ハーモニーと、浮遊するようなキーボードと、奇妙な躍動を付加する独特のベースラインに彩られながら、眠りから目覚めねば、自分の心の奥底に眠っている何かを目覚めさせねば…と、変化/変貌への思いを綴るオープニング・チューン「レア・トゥ・ウェイク」から、いきなり引き込まれる。でも、彼女はそこに静かに、不動でたたずむ。目覚めはなかなかやってこない。そんなアンビヴァレンスを抱え込んだシャノン・レイの世界観。アルバム・タイトルにもなっている“ガイスト”というのは、ご存じの通りドイツ語で“精神”とか“幽霊”を表わす言葉だけれど。なるほど。

続いて2曲目に収められた「ア・スレッド・トゥ・ファインド」や、ほぼアカペラで歌われる「アウェイクン・アンド・アロウ」あたりにも同じ魅力的な手触りがある。ニコとジョニ・ミッチェルとローチェズあたりのイメージがふわふわ脳裏に浮かぶけれど、最終的にはそのどれにも“寄る”ことのない、シャノンさんならではの吸引力に満ちた宇宙がたまらない。そして、その感触はシド・バレットのアルバム『帽子が笑う…不気味に(The Madcap Laughs)』のラストを飾っていた「夜もふけて(Late Night)」のカヴァーで静かなピークを迎えて…。

なんか、急に寒くなってきたここ数日の気分にふわっと寄り添ってくれる1枚って感じです。

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