キープ・ウォーキン：シングルズ、デモズ＆レアリティーズ 1965-1978／ナンシー・シナトラ
毎週木曜はスロウバック・サーズデイってことで、懐かしい曲中心のNBPプレイリストをセレクトするのを恒例にしているわけですが。今週はこれぞというテーマを思いつかず(笑)。お休みです。
てことで、再発もののニュー・リリースをひとつご紹介しておきましょう。
以前、本ブログでも紹介したナンシー・シナトラの充実したアンソロジー『スタート・ウォーキン 1965〜1976』の続編的なやつが2年半ぶりに出ました。それが本作『キープ・ウォーキン：シングルズ、デモズ＆レアリティーズ 1965-1978』。副題からもわかる通り、前アンソロジーの選曲からこぼれたレアなアルバム未収録シングル曲、B面曲、未発表曲、興味深いカヴァー曲、デモなどを詰め込んだ音源集だ。
ナンシーにまつわるもろもろについてはそちら、前アンソロジーを紹介したエントリーにあれこれ書いているのでお時間ある方はそれをご参照いただけるとうれしいです。そのとき、“なんでこの曲が入っていないんだ!?”と個人的不満を爆発させてもらった「ドラマー・マン」とかも今回はめでたく収録。ハル・ブレインの超絶プレイを満喫できます。やったぜ。
他にも彼女がシーンに登場してきた1960年代半ば以降の世相を反映して、けっこう当時のドラッグ・カルチャーとか、女性解放運動とか、貧困問題とか、そういったテーマを盛り込んだ曲もいくつか。フランク・シナトラという強大な父親が象徴する米ショービズの伝統と、それへのアンチテーゼのような形で盛り上がった1960年代ロック・カルチャーとをつなぐミッシング・リンクというか。
1976年の隠れ名シングル「キンキー・ラヴ」も入っていて感涙。ビル・ウィザースの「エイント・ノー・サンシャイン」、ムーヴの「フラワーズ・イン・ザ・レイン」、ニール・ダイアモンドの「グローリー・ロード」、リンジー・ディポールの「シュガー・ミー」といったカヴァーものも興味深い。リー・ヘイズルウッドとのデュエットでカヴァーしたB.J.トーマスの「君を信じたい（I Just Can't Help Believing）」のような、1978年のセッションで録音された未発表音源とかも聞くことができて。盛り上がる。
CDだけでなく、黒、黄、青など各種カラー・ヴァイナル、さらには8トラックなども出ていて。ライト・イン・ジ・アティック、相変わらず楽しい仕事ぶり。ぼくの手元にはまだブツはなくてストリーミングで楽しんでいる状態だけど、ブックレットも興味深そう。LP用が24ページ、CD用が40ページ。レッキング・クルーの一員、ドン・ランディへのインタビューも掲載されているそうです。
