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Disc Review

Live At Newport / Christian Scott (Concord Jazz)

ライヴ・アット・ニューポート/クリスチャン・スコット

プリンスのアルバムへの参加でポップス・ファンにはおなじみかも。若き天才トランペッター、クリスチャン・スコットの新作だ。

タイトル通り、今年夏のニューポート・ジャズ・フェスでのライヴ盤。『アット・ニューポート1958』としてのちにまとめられたマイルス・デイヴィス、58年の歴史的ライヴから50周年を祝うスペシャル・ステージでのパフォーマンスの模様だ。といっても、別にマイルスの曲をカヴァーしているわけじゃなく。全8曲中6曲がスコット作。2曲がギターのマット・スティーヴンス作。スコットはファーストでマイルスの「ソー・ホワット」を大胆にカヴァーしたりしていたんだから、それでもやればいいのに、あえて全曲オリジナルでこのスペシャル・ステージに臨んだ。現在25歳のスコットをはじめ全員20歳代のバンド。若さゆえの暴走かな、とも思ったのだけれど。いやいや、すんません。そんなことありませんでした。

ポイントはアルバムを貫く音像の手触り。これが前作、前々作と違ってまっすぐジャズである、と。今回はここがキモかな。05年の初リーダー作はフェンダー・ローズ・ピアノの響きと現代的なグルーヴ感覚が印象的な1枚だった。前作『アンセム』でも曲によって取り入れられているヒップホップのイディオムとか、ノイジーなギターをともなったオルタナ感溢れる音像とか、現代音楽的なアプローチとかのほうについ耳が向かいがちだった。けど、この人のすごさはむしろそのプレイの底辺に流れる伝統への熱い眼差しというか、ぶれないルーツ感覚というか。そっち。ぼくはそう確信しているのだけれど。

今回は録音されたシチュエーションも含めて、その部分をまっすぐアンプリファイズした形で明快に楽しめる仕上がりになっているわけだ。ファースト・アルバムから1曲、セカンドから2曲、計3曲の既発曲も含まれているけれど、アプローチがまるで違う。ミックスのせいもあるのだろうが、オルタナ感が一気に減って、ストレート・アヘッドな手触りに。どの曲もいい感じにモーダルな展開に貫かれていて。往年のジャズ喫茶マインドがうずき出す。ダンモだ、ダンモ。ごきげんだ。演奏曲はすべてオリジナルながら、この辺にマイルスへのリスペクトがたっぷり詰まっているのだろう。

スコットのプレイはもちろん素晴らしいのだが、ギターのスティーヴンスも最高。なかなかスリリングなフレージングを連発している。前作から引き続き参加しているアーロン・パークスのピアノも今回は徹頭徹尾ジャズへのこだわりを感じさせていて、いい。DVD付きです。絵ヅラもかっこいいです。

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