Disc Review

I Keep My Feet on the Fragile Plane / Allegra Krieger (Double Double Whammy)

アイ・キープ・マイ・フィート・オン・ザ・フラジャイル・プレイン/アレグラ・クリーガー

ぼくがこの人の存在を知ったのは去年出たアルバム『プレシャス・シングズ』でのこと。でも、あんまり詳細なプロフィールもなく、今なお素性はよくわからないまま。2017年に自主制作したらしきファースト・フル・アルバムから数えて、これが4作目。なんか、けっこうすごい人かもなぁ…と、改めて。

なんとなくネットのあちこちに転がっている情報を総合すると、ペンシルヴェニア生まれでフロリダ育ち。子供のころからピアノを習って、教会でも音楽に親しんできて。やがてノース・カロライナ、カリフォルニア、さらにはスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどを放浪して、現在はニューヨークを拠点にして歌っている、と。

物憂げだけれど確かな歌声、テンション・ノート鳴りまくりのコード感、クールなリリシズム、ドリーミーな音像…。ジュディ・シル、ジョニ・ミッチェル、カレン・ダルトン、フィオナ・アップル、ローラ・マーリング、ビッグ・シーフのエイドリアン・レンカーなど、聞いているといろいろな名前が脳裏をよぎりつつ、しかし、彼女たちの誰とも違う感触を届けてくれていて。なんだか妙に惹かれる。

とはいえこのアルバム、ストリーミングはすでにスタートしているのだけれど、フィジカルが出るのは8月になってかららしく。ブツがないのでクレジットとか詳しくはわからない状態。一応、今回も前作に引き続きヒア・ウィー・ゴー・マジックのルーク・テンプルや、マルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサーのジェレミー・ハリスらがサポートしていて。彼らの助けを借りつつ、まずアレグラさんのヴォーカルとギター、あるいはピアノだけレコーディング。その後、浮遊感に満ちたストリングスやホーン、ペダル・スティール、ノイジーに不協和音をぶちまけるエレクトリック・ギターなどをダビングした、と。前作以上に緻密なアレンジの下で構築された音世界を生み出している。全10曲中5曲で聞くことができるサミー・ワイズバーグ編曲によるホーンが特にいい働き。

前述したような持ち前の放浪癖ゆえか、「ナッシング・イン・ジス・ワールド・エヴァー・ステイズ・スティル」でロサンゼルスのスポーツ・バーで働いているときのことを描いていたかと思えば、「アイ・ウォンテッド・トゥ・ビー」では南部のどこかでオレンジかじっていたり、「テリブリー・フリー」ではマンハッタンをねずみと歩きながら歌っていたり…。でも、どこにいてもアルバム・タイトル通り“常に脆い飛行機の上にいる”と。そういうことかな。多彩なロケーションの下、希望と痛みの狭間で穏やかなバランスをとりつつ綴られる心象風景、みたいな?

繰り返しになりますが、なんかすごい人かも。気になる。アナログ、予約しとこ。

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