Disc Review

Live at the Capitol Theatre / David Crosby & The Lighthouse Band (Three Blind Mice/BMG)

ライヴ・アット・ザ・キャピトル・シアター/デヴィッド・クロスビー&ザ・ライトハウス・バンド

2014年に20年ぶりのソロ・アルバム『クロズ』をリリースしてから、がぜんパワーアップ。70代に突入したデヴィッド・クロスビーはそれまで以上の勢いでコンスタントなアルバム・リリースを続けてきた。特に2016年の『ライトハウス』は意義深い1枚で。スナーキー・パピーのマイケル・リーグをはじめ、ミシェル・ウィリス、ベッカ・スティーヴンズを加えたコラボレーションがごきげんに機能。以降、2017年の『スカイ・トレイルズ』、2018年の『ヒア・イフ・ユー・リッスン』と、彼らとのレコーディングを重ねて。

でもって、『ヒア・イフ・ユー・リッスン』のリリース後、クロスビーは3人を“ザ・ライトハウス・バンド”と命名。彼らを従えて全米ツアーに出た。その最終日、2018年12月8日、ニューヨーク州ポートチェスターのザ・キャピトル・シアターにおけるライヴの模様を記録したのが本作『ライヴ・アット・ザ・キャピトル・シアター』。CD+DVDという映像込みでのリリースだ。

アルバム・リリースに合わせたツアーということもあり、収録曲の大半が近作からのナンバー。詳しい内訳としては、「ジ・アス・ビロウ」「シングズ・ウィー・ドゥ・フォー・ラヴ」「バイ・ザ・ライト・オヴ・コモン・デイ」「ザ・シティ」「ルック・イン・ゼア・アイズ」が2016年の『ライトハウス』から。「1974」「ヴァグランツ・オヴ・ヴェニス」「グローリー」「ジャネット」、そして、かつてクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング時代にカヴァーしていたジョニ・ミッチェル作品「ウッドストック」の再演版が2018年の『ヒア・イフ・ユー・リッスン』から。「ウッドストック」とミシェル・ウィリス単独で書いた「ジャネット」以外、どれも4人のメンバー全員あるいは何人かで共作した楽曲だ。

そこにベッカ・スティーヴンスのアルバムから選曲された「レジーナ」も加わって。ここまでがわりかし新曲という感じ。で、残る5曲が旧曲(笑)。「グウィニヴィア」は1969年のクロスビー・スティルス&ナッシュのファースト・アルバムから。「デジャ・ヴ」はもちろん1970年、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの同名アルバムから。「嘲笑(Laughing)」と「彼等の名は?(What Are Their Names)」は1971年のソロ・アルバム『イフ・アイ・クッド・オンリー・リメンバー・マイ・ネーム』から。「キャリー・ミー」は1975年、クロスビー&ナッシュのアルバム『ウィンド・オン・ザ・ウォーター』から。

なんか、クロスビーとバック・バンド、みたいな感触ではなく、きっちり4人でひとつのバンドを形成しているところが素敵だ。4人でリード・ヴォーカルを分け合ったり、ふくよかなコーラス・ハーモニーを積み上げたり。世代を超え、年代を超え、過去と現在がシームレスに絡み合いながら全体像を構築しているようで。ぐっときます。

クロスビーはもう今後ツアーしないのでは? という話もあるけれど。それを思うと本作、とても大切な1枚かも。そういう意味でもザ・ライトハウス・バンドの3人、グッジョブですよ。ほんと。

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