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Disc Review Film Review

Brian Wilson: Long Promised Road (DVD/Blu-ray) (NBC Universal Entertainment Japan)

ブライアン・ウィルソン/約束の旅路(DVD/Blu-ray)

以前、シー&ヒムの『メルト・アウェイ:ア・トリビュート・トゥ・ブライアン・ウィルソン』を紹介したときに書いた文章なんですが。改めて引用させてください。

『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』って映画の中で、ブルース・スプリングスティーンがビーチ・ボーイズについてむちゃくちゃかっこいいこと言っていて——

「ロックンロール史上、ビーチ・ボーイズ以上に偉大な音楽を創造した者はいない。彼らは世界中の人々のために南カリフォルニアを再定義してみせた。聞き手がどこにいようと、彼らは聞き手を別の場所へといざなってくれた」

と。

スプリングスティーン親分はここで、“世界中”の人々というふうに地理的な広がりに特化して話しているのだけれど。それは世代というか、時代というか、そういう時間軸的な広がりにもたぶんつながっていて。同じアメリカのカリフォルニアに暮らしている人々であっても、違う時代に暮らす違う世代にとって、ビーチ・ボーイズ/ブライアン・ウィルソンの音楽を聞くという行為はきっと特別なのだと思う。

そんな再定義を、ほぼひとりで、しかし特に自ら意識することもなく、音楽を通して軽々とやってのけた偉大な才能、それがブライアン・ウィルソンだ。そんな彼の心の内を、インタビュアーを務めたジェイソン・ファインが運転する車の中、思い出の地を次々訪れながら、自身の言葉でありのまま語ってみせたドキュメンタリー映画が『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路(Brian Wilson: Long Promised Road)』だ。いわばブライアンの“心のロード・ムーヴィー”。2021年の6月にトライベッカ・フィルム・フェスティヴァルで初公開。日本でも今年の夏に劇場公開され、大いに話題になった。

本ブログでは映画公開前、その内容もさっぱりわからないころ、先行でリリースされたサントラ盤だけを紹介したことがありましたが。ようやく日本でも映像パッケージが出た。てことでご紹介です。

本作については日本語字幕の監修をさせていただいたり、パンフレットに原稿を寄せさせてもらったり、能地祐子とトークショーさせてもらったり。劇場公開にあたっていろいろ関わらせていただいたのでもう語り残したこともないわけですが。

何度見ても、泣けるというか。もちろん、ブライアンならではのとぼけた感じとか、かわいい振る舞いとかも多く、頬がゆるむ個所も多いし、本人の口から初めて語られる史実もあって驚いたりもできるし、ビーチ・ボーイズの初期楽曲から1990年代のいわゆる“アンディ・ペイリー・セッション”音源、さらには最新のスタジオ・レコーディング音源まで、次々登場する音楽に胸が躍るし。でも、ここぞの個所でブライアンが訥々と語るひとこととか、ふと無意識にたたえる表情とかが見ているこちらの心を直撃して。涙腺が一気に崩壊する瞬間が何カ所かある。

音楽への思い、かつて暮らした地への思い、友への思い、そして何より先立ってしまった二人の弟、デニスとカールへの思い。まあ、映画なので、ブライアンが実際にとった言動とは違う形で編集された個所も少なくなさそうで。ちょっとセンチメンタルに仕上げられているきらいもなくはないけれど。でも、いずれにせよ泣けるから。ブライアンのことがより深く分かった気になって、もっと彼の音楽を好きになれるから。OK。ほんと素敵な映画だと思う。

冒頭の引用文に出てくるブルース・スプリングスティーンをはじめ、テイラー・ホーキンス、リンダ・ペリー、エルトン・ジョン、ジェイコブ・ディラン、ニック・ジョナス、ジム・ジェイムス、ドン・ウォズ、グスターヴォ・ドゥダメル、スティーヴ・カリニッチなど、コメント陣の発言も興味深い。

本日発売。ぼくは日本版DVDとかの制作にはまったく関わっておらず、まだブツが手元にはなく改めて見返せてはいないのだけれど。いろいろ未発表シーンとかも特典で入っているようだし、小西康陽さんの書き下ろしライナーとかもついているみたいだし。楽しみ! 劇場に行けなかった方はこの機会にぜひ。劇場で見た方も改めて、ぜひ(笑)。

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