Disc Review

Hardcore from the Heart / Joana Serrat (Great Canyon Records/Loose Music)

ハードコア・フロム・ザ・ハート/ジョアナ・セラット

すいません。実はこの人のこと、あんまり…いや、ほぼまったく知らなくて。ジョアナ・セラット。で、いいの? 名前の正しい読み方すらわからないというか(笑)。

スペインのバルセロナ出身の女性シンガー・ソングライターで。2012年に自主制作したアルバム『ザ・リリーフ・セッションズ』でデビュー。そこそこ注目を集めてスペインのテレビ・ドラマみたいなやつに出たこともあったみたい。で、2014年のセカンド『ディア・グレイト・キャニオン』で本格始動。以降、UKのルーズ・ミュージックと契約して2016年の『クロス・ザ・ヴァージ』、2017年の『ドリッピング・スプリング』とリリースを続けて。で、これが5作目らしく。

これまでも元アーケイド・ファイアのハワード・ビラーマンや、カナダのバンド、ウッドゥン・スカイのギャヴィン・ガーディナー、テキサス出身のシンガー・ソングライター、イズラエル・ナッシュらをアルバム作りに迎えてアメリカでレコーディングを続けていて。ニーコ・ケイスのサポートとかもしていて。スペインではもちろん、UKやオーストラリアではそれなりに評価されているみたいで…と、ぎりぎりこの程度の知識しかないのだけれど。

で、今回もまたアメリカでのレコーディング作品。テキサス州デントンのレッドウッド・スタジオで録音されて、ブルックリンのアウター・スペース・スタジオでトラックダウンされている。

クレジットを見ると、全曲、ジョアナさんの自作曲。ミッドレイクのジョーイ・マクレラン(ギター)、マッケンジー・スミス(ドラム)、ジェシ・チャンドラー(キーボード)、イズラエル・ナッシュのバンドからエリック・スワンソン(ペダル・スティール)、アーロン・マクレラン(ベース)、そしてジョアナのお兄さんらしきトニー・セラット(ドラム、パーカッション)らがバックアップ。前作から引き続きの顔ぶれが中心みたいで。セイント・ヴィンセントとか、シャロン・ヴァン・エッテンとか、ファースト・エイド・キットとか、マーキュリー・レヴとか、ナサニエル・ラテリフとか、そのあたりと共通する人脈という感じ。

ソニック・ユースやカート・ヴァイルらとの仕事で知られるテッド・ヤングがミックスを担当。ジョーイ・マクラレンとマッケンジー・スミスとともに共同プロデューサーもつとめている。

ドリーミーな音像のもとで展開するメロウなインディ・フォークというか、シューゲイザー風味をたたえたオルタナティヴ・コズミック・カントリーというか、美しさと脆さと、でもたくましさと強さを同時にたたえたような、矛盾をはらんだ深い音作りが印象的だ。曲もいいし。アルバム全体に喪失感のようなものが漂っていて、理想的な心の在り方を追い求めることがいかにむずかしいか、人生とはいかにアンバランスなものなのかを思い知らされるような感触もあるのだけれど。そんな手触りも含めて、この人ならではの“奥行き”なのかなと思う。

ぼくもまだまだ勉強不足。知らない才能がいっぱいです。日々これ発見だなぁ。旧作もストリーミングされているので、少しずつちゃんと聞いてみようっと。

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