Disc Review

Live at the Fillmore, 1997 (Deluxe) / Tom Petty & The Heartbreakers (Warner)

ライヴ・アット・ザ・フィルモア 1997/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ

さてさて。ちょっと告知なんですが。

うちのご近所に、小さいながらもごきげんな中古アナログ・レコード屋さんがあります。文京区白山にあるマニアックでローカルなレコード屋さん、“WOO-EEE-WOO STORE”

古着とかも扱っていて、品物のセレクションのセンスがとっても素敵なお店なんですが。来たる12月18日(日)、こちらで催されるイベントに参加します。「文京白山レコード大忘年会 〜一日店長のわがままDJトークパーティー WOO-EEE-WOO STORE Vol.1〜」と銘打ったイベントで。ぼくと能地祐子がこの日、夫婦でお店の一日店長を務めさせていただきます。

例年はCRTでやっている年末恒例“レコード大将”。今年はまだコロナまわりの状況が落ち着かないもんで、CRTとしての開催は見送る感じなのですが、そのぶん、こちらの店頭でノージとともに今年1年を振り返りたいと思っています。今年気になった新作や再発盤をあれこれ聞きながら、ご近所でみなさんとこっそり(笑)盛り上がれればうれしいです。

時間は午後3時〜午後6時30分の予定。ホストDJとして、♡(ラブ!)ちゃんも登場。さらにポップアップストアとして、こちらもご近所、駒込に今年5月にオープンしたばかりのUSA古着を中心に取り扱っている古着屋さん「anything else?」が出張出店してくださるようです。なーんか盛りだくさんで楽しそう!

お店の住所は 東京都文京区白山5丁目18ー12-102。ご興味ある方、ツイッターのアカウント「@wooeeewoostore」、インスタのアカウント「@wooeeewoostore」などを参照しつつ、たどり着いてみてください。都営三田線・千石駅 A1出入口から徒歩4分です。レコ掘りしながらDJトークパーティも楽しむ、みたいな感じで気軽にお立ち寄りくださいね。


というところで本日のニュー・リリース紹介。先週くらいからずっと古い音源の再発とか発掘とか、そんなのばっか取り上げてますが。まあ、年末になるとその手がバババッと駆け込み気味に集中リリースされる感じもあって。年末商戦みたいな。トシ寄りの音楽ファンとしてはうれしいような、おサイフ的に厳しいような…。

で、今日も古いです(笑)。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ。1997年にサンフランシスコの伝説的ライヴ会場、ザ・フィルモアで行なった1ヵ月間、20回に及ぶレジデンシー公演の模様を収めた強力なセットだ。このときのライヴ音源は、ペティさんの没後2009年に出た『ザ・ライヴ・アンソロジー』や、2020年に出た『ワイルドフラワー』の拡張エディションで何曲か聞くことができたけれど、それが一気にまとめられたわけだ。うれしい。2種4形態のフォーマットでリリースされていて。4枚組CD(あるいは6枚組LP)のデラックス・エディションと、2枚組CD(あるいは3枚組LP)の通常エディション。あー、おサイフのひも、またゆるめなきゃ。ゆるめても、もうほとんどカラッカラなのに…。

トム・ペティの場合、ザ・ハートブレイカーズを率いてアルバム・デビューしたのが1976年。早すぎる他界が2017年。そう思うと1997年というのはキャリアど真ん中。1980年代末からトラヴェリング・ウィルベリーズの一員として、あるいはソロ名義での活動を活発化させていたけれど。1990年代半ばになってバンド名義でキャリアを総まくりするボックスセットを出したり、映画のサントラを出したり。再びザ・ハートブレイカーズとの活動に注目が集まってきたところでのレジデンシー公演だった。

ファンの間では今なお語り継がれる強力なコンサートだったようで。その音源がついにこうしてまとめられた。生で見ることができなかった日本の一ファンとしては本当にうれしい。20公演中、ラストの6公演がレコーディングされていて。そこから今回プロデュースを手がけたベンモント・テンチ、マイク・キャンベル、ライアン・ウルヤテ、アドリア・ペティ、アナキム・ペティ、そしてダナ・ペティら、バンドメイト&ご遺族が選曲してます。

このレジデンシー公演は毎日セットリストを変えながら行なわれたそうで。実にバラエティ豊かな曲が取り上げられている。オリジナルばかりでなく、カヴァーも強力。4CD(あるいは6LP)のデラックス・エディションは全58曲入り。うち半数以上の35曲がカヴァーだ。全長4時間強。すごい。2CD(あるいは3LP)のほうは全33曲入り。うちカヴァーはこれまた半数以上の18曲。

オリジナルに関してはソロ名義での楽曲も含め代表曲が勢揃い。盛り上がる。さらにカヴァーの選曲センスが最高なのだ。カヴァー曲をリストアップしておくと——

チャック・ベリーの「アラウンド・アンド・アラウンド」と「ジョニー・B・グッド」、リトル・リチャードの「ルシール」(エヴァリー・ブラザーズ版も下敷きになっている)と「リップ・イット・アップ」、J.J.ケイルの「コール・ミー・ザ・ブリーズ」と「アイド・ライク・トゥ・ラヴ・ユー・ベイビー」と「クレイジー・ママ」、ローリング・ストーンズ関連の「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」(アーマ・トーマス)と「サティスファクション」と「イッツ・オール・オーヴァー・ナウ」(ボビー・ウーマック)、リック・ネルソン「ウェイティン・イン・スクール」、ベンチャーズ「10番街の殺人(Slaughter on Tenth Avenue)」、おなじみ「ユー・アー・マイ・サンシャイン」、ビル・ウィザーズ「エイント・ノー・サンシャイン」、ボ・ディドリー「ディディ・ワー・ディディ」、ヴァーチュアズ「ギター・ブギー・シャッフル」、ゾンビーズ「アイ・ウォント・ユー・バック・アゲイン」、スタンリー・ブラザーズ「リトル・マギー」、ブッカー・T&MGズの「ヒップ・ハガー」と「グリーン・オニオンズ」、クレイトフル・デッド「フレンド・オヴ・ザ・デヴィル」、キンクス「ユー・リアリー・ガット・ミー」、ジョン・バリー「ゴールドフィンガー」、ザ・バーズの「悪くはないぜ(It Won't Be Wrong)」「ゴーイング・ノーホエア(You Ain't Goin' Nowhere)」「ドラッグ・ストア・トラック・ドライヴィン・マン」「霧の8マイル(Eight Miles High)」、トミー・タッカー「ハイ・ヒール・スニーカーズ」、レイ・チャールズ「アイ・ガット・ア・ウーマン」、ボブ・ディラン「天国の扉(Knockin' on Heaven's Door)」、ジョニー・キッド「シェイキン・オール・オーヴァー」、キングスメン「ルイ・ルイ」、ゼム「グロリア」。

すごい! ロックンロール、R&B、ブルース、インストもの、フォーク・ロック、カントリー、スワンプ、映画音楽…。めくるめくセットリストだ。ジョン・リー・フッカー御大、ご本人を迎えての「ファインド・マイ・ベイビー」「サーヴズ・ユー・ライト・トゥ・サファー」「ブギー・チレン」もある。強力!

こうなると、やっぱ4CD、あるいは6LPのデラックス・エディションだよなぁ。トム・ペティのMCとかもいっぱい収められているし。デラックス・エディションにはレアな写真などを満載した24ページのブックレット、カスタム・ギター・ピック3枚、オール・アクセスのラミネート・バックステージ・パスのレプリカ、3公演のセットリストのコピー、8ページの1997年ファン・ニュースレター、そしてツアー・タイトルでもあった“The Fillmore House Band”というロゴが縫い込まれた刺繍ワッペンが同梱されております。

“WOO-EEE-WOO STORE”で、これもかけちゃおっかなー。

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