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Disc Review

Mike Finnigan / Mike Finnigan (Big Pink/VIVID SOUND)

マイク・フィニガン/マイク・フィニガン

今朝は午前中からなんやかんやスケジュールが入っているので、改めて聞き返さずとも紹介できちゃう再発盤を軽く取り上げますね。日本では例の名盤探検隊を皮切りに、過去何度も、機会があるごとにCD化復刻されてきたアルバム『マイク・フィニガン』。今年の春、韓国のしぶとい再発レーベル、ビッグ・ピンクが再発したことを受けて、日本でも紙ジャケ化したうえで、本日10月26日、またまた国内流通盤が出ました。

ビッグ・ピンクの再発は、たぶん去年の夏、フィニガンが76歳で亡くなったことをきっかけとしたものだったのかも。あの訃報に接して、レコード棚からこの盤を引っ張り出して各々独自に追悼した方も多かったはず。と、そんなわけで、まあ、もう持ってる人は持ってる盤かなとは思うものの、1970年代に日本のロック喫茶あたりで青春を送った世代にとっては思い出深い1枚なので。1998年、2010年、2013年に続く10年弱ぶりの再々々々発(笑)、しっかり歓迎しましょう。

ジミ・ヘンドリックス、デイヴ・メイソン、クロスビー・スティルス&ナッシュ、ボニー・レイット、タワー・オヴ・パワー、ジョー・コッカー、レナード・コーエン、マリア・マルダー、レス・デューディックらとの仕事でもおなじみの名セッション・キーボード奏者が、ジェリー・ウェスクラーのプロデュースのもと、ロジャー・ホーキンス(ドラム)、バリー・ベケット(キーボード)、デヴィッド・フッド(ベース)、ピート・カー(ギター)らマッスル・ショールズの名手をはじめ、エイモス・ギャレット(ギター)、マリア・マルダー(デュエット・ヴォーカル)らをバックに従えて1976年にリリースしたファースト・ソロ・アルバム。

けっしてヒットチャート的な成功を収めた1枚ではないけれど、前述した通り、日本のロック喫茶や輸入盤屋さん周辺ではマニアックなアメリカン・ロック・ファンによって熱烈に支持された隠れ名盤だ。

アン・マレーやブラッド・スウェット&ティアーズらが歌っていたデヴィッド・パーマー&ウィリアム・D・スミス作品「セイヴド・バイ・ザ・グレイス・オヴ・ユア・ラヴ」に始まり、ジョー・コッカーやエスター・フィリップスらが歌っていたアラン・トゥーサン作品「パフォーマンス」、マイク・フィニガン自身がトレイシー・ネルソンに提供した「ベイビー・アイ・ファウンド・アウト」、ママ・キャスが歌っていたジョン・セバスチャン作品「ザ・ルーム・ノーバディ・リヴズ・イン」、ビリー・ジョエルの「ニューヨーク・ステイト・オヴ・マインド」、チック・ブロックが1930年代に取り上げて以降無数のアーティストがカヴァーしてきた「エイス・イン・ザ・ホール」。と、ここまでがアナログLPのA面。

B面アタマに移って、1曲目はティミ・ユーロが歌ったマイク・ヘイズルウッド作品「サザン・レディ」、以降、リチャード・ステコル作の「エヴリシング・ウィル・ワーク・アウト」、ポーター・ワゴナーが歌ったジェリー・リード作品「ミズリー・ラヴズ・カンパニー」、リー・ドーシーでおなじみのアラン・トゥーサン作品「ホーリー・カウ」、ジェシ・ウィンチェスターの「ミシシッピ・ユーアー・オン・マイ・マインド」という、なんともいい感じに幅広く、味わい深い選曲が素晴らしい。個人的にはこのアルバムをきっかけに存在を知ったアーティストも多かった。

もちろんフィニガン本人のキーボードも含め、名手ぞろいの演奏も素晴らしいし、フィニガンのヴォーカルも、ていねいで、真摯で、泣ける。1970年代半ば、徐々に形作られ始めていたソウルフルなアダルト・コンテンポラリー感覚と古き良き南部スワンプ感覚とが共存する大切な大切な1枚です。サブスクはないみたい。ぜひ一家に1枚、フィジカルで備えたい静かな名盤です。

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