Disc Review

Cheap Medication / Johnny Lloyd (Xtra Mile Recordings)

チープ・メディケイション/ジョニー・ロイド

トライブス、好きだったなー。

2011年にデビューEP『ウィー・ワー・チルドレン』で登場してきたとき、英カムデン・タウン本拠のバンドながら、どこか初期ウィーザーみたいな感じもあったし、ピクシーズも想起させたし、さらにさかのぼってビッグ・スターみたいなテイストもあったし…。パワー・ポップの伝統と美学を現代に継承する頼もしい連中かも、と大いに期待をかけたものです。ファースト・アルバム『ベイビー』は国内盤も出た。来日もあった。イケそうだったのに。結局アルバム2作を残して2013年に解散。

今日、紹介するのはそんなトライブスのフロントマンだったヴォーカル/ギターのジョニー・ロイドのソロ・アルバム。フル・アルバムとしては去年出た『ネクスト・エピソード・スターツ・イン・15セカンズ』に続く2作目だ。間にデモ集を2作出して。さらにテレビ・シリーズ『アイ・ヘイト・スージー』のサントラも担当。

バンド解散後、マッカビーズのヒューゴ・ホワイトとジェイミー・TのプロデュースによるEP『ドリームランド』を2016年に出すまでしばしの沈黙があったものの、以降はいい勢い。かなり飛ばしている感じだ。ビリー・パイパーのパートナーとしてもおなじみだけれど、二人の間には娘さんも生まれて、公私ともに充実…といったところ。

今回も『ネクスト・エピソード…』や『アイ・ヘイト・スージー』に引き続きネイサン・コーエンとの共同プロデュース。ロンドンにあるコーエンのスタジオ、ドーセットにあるジョニー・ロイドの自宅スタジオ、さらにはアビー・ロード・スタジオなど、様々なシチュエーションでレコーディングが行なわれたらしい。

途中、英国のロックダウンに阻まれ、自宅での一人作業を余儀なくされたものの、初夏、制限が緩和されたタイミングで改めて、ミステリー・ジェッツのカピル・トリヴェディ(ドラム)、元クークスのピート・デントン(ベース)、そしてシェルビー・ベネット(ゲスト・ヴォーカル)ら気の合う仲間を招集。アルバムの最終仕上げが行なわれたという。

トライブスのときからメロディの良さやコード進行のキャッチーさに定評があったジョニー・ロイド。ソロになっても持ち味はそのまま。ただ、サウンドのほうはぐっとアコースティカルかつパーソナルな方向へ。数作のEPも、ファースト・ソロも、去年から今年にかけて立て続けに出たデモ音源集も、基本的には同じ路線。実に簡素な音作りに貫かれていて。今回も基本的にはその流れだ。ただ、少しポップ度およびエレキ度が戻ったかな。

相変わらずいい曲ぞろい。特に1曲目、「スージー」ってのにぼくは思いきりハマりました。アコースティック・ギターのスリー・フィンガーも心地よく。E♭maj7 と E♭6 を繰り返して、次に Fm と B♭ を繰り返しつつ、テンションノートで裏メロを綴っていくみたいな、なんだろう、こう、1968年って感じの展開?(笑) たまらないです。この曲が入っているだけで、ぼくにとって本作は名盤確定!

もちろん、他の曲も仕上がりのレベル高し。なんでもトライブスを一夜限りで復活させる計画もあるそうで。ますますのご活躍、祈念しております。

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