Blog Disc Review

Sounds of Summer: The Very Best of the Beach Boys / The Beach Boys (Capitol/Universal)

サウンズ・オブ・サマー/ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ビーチ・ボーイズ/ビーチ・ボーイズ

またまた極私的なご報告なのですが。

先日お知らせしたワタクシ萩原の体調不良、いまだ本格的には復調せずの状態なもので。とりあえず今月中くらいはおとなしくしていようかなと思っています。

「本の場所」での久々のイベントとか、横浜大さん橋での斎藤誠くんとのギター・イベントとか、楽しみにしていたものがたくさんあったのですが、残念ながら延期あるいはぼくの出演キャンセルという形にさせていただきました。本当に申し訳ありません。

一応心づもりとしては、来月アタマからまた通常営業の予定。ということで、コロナ禍の間、ずっとリモートで講義してきた早稲田大学エクステンションセンターの『英米ロック史』を、7月1週目からほんと久々に中野校の教室で生徒のみなさんと対面で盛り上がりつつ現場復帰、と。そんな感じになればいいなと目論んでおります。

今回の募集は終わっちゃったのかな? よくわかってませんが、今回取り上げるラインアップは、ザ・バーズ、ABBA、フェイセズ、ジミー・ウェッブ、佐野元春の5組。ご興味ある方は詳細こちらでチェックしてみてください。

でも、お詫びだけでおしまいというのもナンなので、夏の到来をがつんと告げるごっきげんなボックスセットをひとつ軽く紹介しておきましょうかね。われらがビーチ・ボーイズのデビュー60周年を祝う充実のアンソロジー『サウンズ・オブ・サマー/ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ビーチ・ボーイズ』。

熱心なファンならばご存じの通り、下敷きになっているのは今から20年近く前、2003年にリリースされた30曲入りの同名ベスト盤。彼らが放った全米トップ40ヒットほぼすべてを収めた豪華な選曲や、曲によって新たなステレオ・ミックスがほどこされていることなどが評判を呼び、全米アルバム・チャート16位まで上昇。104週にわたってランクし続けるロング・ヒットを記録した。翌年にはビーチ・ボーイズが1960年代にテレビ出演した際などの様々な貴重映像を収めたDVD付き2枚組エディションも出た。2012年のデビュー50周年時にはTシャツ付きのスペシャル・エディションも登場した。

そうした戦略も物を言い、現在までに全世界で450万枚以上を売り上げているという。この好評を受け、2007年には『ザ・ウォームス・オヴ・ザ・サン』、2009年の『サマー・ラヴ・ソングス』…と、同趣向の新ベストも編まれた。

と、そんな傑作ベストの最新エディション。オリジナルの30曲入りフォーマットを踏襲した1CD通常版と、そこにさらに50曲を追加した3CDデラックス版とが新たに編まれた。1CD通常版のほうは2003年版と収録曲は同じ。じゃ、前のやつを持っていれば必要ないかな…と思う方がいらっしゃるかもしれない。が、そこはビーチ・ボーイズ。油断は大敵だ。その30曲中、なんと15曲が本作で初お目見えとなる2021年最新ステレオ・ミックス(うち1曲は初ステレオ化)なのだから。3CDデラックス版のほうも合わせれば、さらに11曲の新ミックス(こちらも2曲が初ステレオ化)が加わって、計26曲を新ミックス・ヴァージョンで楽しむことができる。2LP版、6LP版もあり。

リミックスを手がけているのは、もちろん、現在ビーチ・ボーイズの過去音源をもっとも知り抜くエンジニア、マーク・リネットだ。思えば、彼がビーチ・ボーイズの過去音源のマルチ・トラック・マスターにまでさかのぼる形でリミックスを本格的に手がけるようになったのは1993年の『グッド・ヴァイブレーションズ・ボックス(Good Vibrations: Thirty Years of The Beach Boys)』が出たときだ。リネットによるビーチ・ボーイズ・リミックス・プロジェクトもすでに30年近くの歴史を誇ることになった。

ビーチ・ボーイズの初期音源というのは基本的にモノラル・ヴァージョンがオリジナルだ。が、今回もリネットはマスター用のマルチ・トラック・テープのみならず素材用のマルチにまでさかのぼり、さらに近年、ジャイルズ・マーティンなどもビートルズのリミックスで駆使している最新技術も利用しながらレコーディングされた音をできる限り分離。新たなデジタル・マルチをハードディスク上に作り上げ、そこからバランスを取り直しながら、今の時代に通用するステレオ音像をビーチ・ボーイズの作品群にもたらしている。しかも、オリジナル・モノ・ヴァージョンの音のバランスに最大限の敬意を払った形でステレオ化されているところがまたマニアックで素晴らしい。

もちろん中には、えっ、こんな楽器がこんなプレイをしていたの? と改めて驚くような個所も多々あり。楽しい楽しい。

もちろん初期モノ・ヴァージョンのみならず、もともとステレオ・ヴァージョンがオリジナルだった中期以降の楽曲も、オリジナル・マルチから新たにリミックスがほどこされ、新鮮な楽しみをプレゼントしてくれている。

てことで、いろいろなフォーマットで出てはいるものの、ぼくは迷わず6LP(Amazon / Tower)ってやつにしましたよ。7月、横浜で催すCRTビーチ・ボーイズまつりはLPで盛り上がるぞー。でも、これ載せて、またしばらくブログも今月いっぱいくらいはお休みしますね。すんません。再開を楽しみにしていただけるとうれしいです。

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