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Disc Review

Ebony McQueen / Dave Stewart (Bay Street Records)

エボニー・マックイーン/デイヴ・スチュワート

音楽の世界でデイヴ・スチュワートというと、まあ、何人かいるわけですが。たぶん現在いちばん有名なデイヴ・スチュワートはこの人、かな。アニー・レノックスとともにユーリズミックスを形成していたデイヴさん。トム・ペティ、ダリル・ホール、ミック・ジャガー、ブライアン・フェリー、リンゴ・スター、ボブ・ディランなど大物たちのプロデュースとか、多彩なコラボレーションとかでおなじみのデイヴさん。

ご存じの通り、これまでにも単独名義でけっこうな数のアルバムをリリースしてきているのだけれど。その最新作。出ました。そこに描かれているのは、自身のこれまでの歩みをざっくり、ゆるめに下敷きにしたらしき物語。本作『エボニー・マックイーン』は、それをミュージカル仕立てで構成したコンセプト・アルバムだった。

タイトルに冠されたエボニー・マックイーンというのは、どうやら架空のヴードゥー・ブルース・クイーン。彼女を物語の入口に寝据えて、その歌声によって音楽の道へと深く導かれた英国北部サンダーランド出身の少年が、自分のベッドルームから旅立ち、ロンドンへ、さらにはナッシュヴィルへ、そしてカリブ海へ。様々な場所で体験する運命の旅の物語…みたいな。

全26曲。米国ナッシュヴィルのブラックバード・スタジオと、カリブ海にデイヴさんが所有するベイストリート・レコーディング・スタジオでの録音。60人編成のゴージャスな管弦アンサンブルはブダペストでダビングされたらしい。自身の若き日の歩みのようなものをベースにしているだけに、子供のころ父親が聞いていたというグレイト・アメリカン・ソングブック的な音楽性から、ティーンエイジャーだったころ衝撃を受けたカントリー・ブルース、ボブ・ディラン、バーズ、ビートルズ、キンクス、ローリング・ストーンズなど、往年の様々なスタイルを再訪する多彩な仕上がりだ。

かつてウェストエンドのミュージカルの脚本・音楽を手がけたりしたこともあるだけに、デイヴさん、気合い入ってます。というか、これも新作ミュージカルとして劇場にかけられる予定だとか。映画化の計画もあるとかないとか…。きわめてパーソナルな眼差しで深く過去へと分け入っていくことで、むしろユニヴァーサルなというか、グローバルなというか、コズミックな、外へ向かう開放的なニュアンスを現出させようという、手練れのプロデューサーが巧みに構築した音世界。そんな感触です。

5月20日に出たデジタル・リリースに関しては、まあ、普通に26曲がだだーっと並んでいる形でストリーミングあるいはダウンロード配信されているわけですが。ちょっと遅れて出る予定のフィジカル(Amazon / Tower)のほうは、なかなか豪華なスケール。LP3枚+7インチ・シングル2枚+カセット2本(アコースティック・ヴァージョンやピアノ・ガイド・ヴァージョンなどを収録)+写真やら脚本やら歌詞やらを詰め込んだブックレットという限定ボックス仕様。お値段も200ドルちょいというか、110ユーロくらいというか。こっち方面でも気合い入ってます。

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