Disc Review

Swingin’ Again / Scott Hamilton, Duke Robillard (Blue Duchess)

スウィンギン・アゲイン/スコット・ハミルトン、デューク・ロビラード

ずいぶんと押し迫ってきて。年間ベスト・アルバムとか選ばなきゃいけない時期。なもんで、いろいろ今年のリリースとかをWEBサイトでチェックしたりしてみると。毎日毎日けっこう大量の新作アルバムに耳を通しているつもりでいたのに、見落としていた良盤がそこそこあることに今さらながら気づいたりして。ちょっと情けなくなる。

いやー、どんだけの新作アルバムが日々出ていることやら。時間が足りないなぁ。

というわけで、今年の夏にリリースされていながら、つい見過ごしていた盤を今日は紹介します。スコット・ハミルトンとデューク・ロビラード。大好きなジャズ・サックス奏者と、大好きなジャンプ・ブルース・ギタリストの共演盤だ。

ぼくがロビラードのことをどんなに好きかは本ブログのこことかここでしつこく語らせてもらっている。もちろん、ぼくはハミルトンのことも大好きで。1970年代半ばにコンコードからデビューしたころの、なんとも時流から思いきり外れた往年のレトロ・スウィング感みたいなやつがたまらなく魅力的だった。コンコード・ジャズ・イン・ジャパンとかにも、この人見るために行ったっけ。懐かしい。

と、そんな大好きなプレイヤーふたりの共演盤なのに、すっかり見落としておりました。不覚。アルバム・タイトルを見て思い出したのは、1987年にラウンダーから出た『スウィング』ってアルバム。あれはロビラード単独名義の1枚だったけれど、サックスでスコット・ハミルトンが参加していて。よく聞いたものだ。ブルース系ギタリスト/シンガーとして認識されているロビラードだけど、実はジャズも彼の重要なルーツであることを確信させてくれた傑作だった。その他、2008年の『ア・スウィンギング・セッション・ウィズ・デューク・ロビラード』にもハミルトンの名前がクレジットされていたっけ。

そのお返しとばかり、ハミルトンの1999年のアルバム『ブルース、バップ&バラッズ』とか2004年の『アクロス・ザ・トラックス』にはロビラードのほうが客演していたり、2015年の『プレイズ・ジュール・スタイン』をロビラードがプロデュースしていたり…。

ロビラードが1948年生まれ。ハミルトンが1954年生まれ。6歳違いながら、このふたり、地元ロード・アイランドで過ごした少年時代からの知り合いだそうで。一緒にレコード聞いたり、ジャムったりしていたらしい。でも、彼らが若かった1960年代に聞いていたのは当時のコンテンポラリーな音楽ではなく、1940〜50年代のジャズとかブルースばかりだったとか。それが彼らのそれぞれ重要なルーツになったわけだ。

そんな旧知の間柄ならではのリラックスした、しかし、こう、なんというか、昔の友だちと会うと出会ったころの無邪気な感じにいきなり戻っちゃうみたいな、そういう不思議なタイム・ワープ感をもはらんだ共演盤に仕上がっている。

デューク・ロビラードのバンドにスコット・ハミルトンが乗っかる形が基本。なので、R&B〜ジャンプ・ブルース・テイストの強いジャズの味を存分に楽しめる。うれしい。基本的にはインストものだ。ガス・カーン&テッド・フィオ・リトが1925年に書いた「アイ・ネヴァー・ニュー」で幕開け。以降、「ペニーズ・フロム・ヘヴン」とか「オール・アイ・ドゥ・イズ・ドリーム・オヴ・ユー」とか「ワン・オクロック・ジャンプ」とか有名どころから超マニアックなものまで含むごきげんな選曲だ。

基本的にはインストだけれど、フレッド・アステアの「アイム・プッティング・オール・マイ・エッグズ・イン・ワン・バスケット」とルイ・アームストロングの「ユー・キャン・ディペンド・オン・ミー」ではボストン・ブルース・シーンの人気者、シュガー・レイ・ノーシャが、そしてケイ・スターの「ステディ・ダディ」ではサニー・クラウンオーヴァー姐さんが、それぞれヴォーカルを担当。さらに曲によってはジョン・エリック・ケルソーがトランペットで、ティム・レイがピアノで客演している。

もっと早く気がつけばよかったー。フィジカルはデューク・ロビラードのWEBストアでCDを売ってるだけかな。他では見てません。これ、ぜひヴァイナルで手に入れたいんだけどなぁ…。でも、遅れを取り戻すためにもこのアルバム、とりあえずストリーミングで思いきりハード・リスニングしちゃいます。

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