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Disc Review

Earworms / Nick Frater (Big Stir Records)

イヤーワームズ/ニック・フレイター

“カーペンターズ・ミーツ・フレイミング・リップス”とか形容されたりすることもある英国パワー・ポッパー、ニック・フレイター。

アルバム・デビューは2012年。ぼくはずいぶん遅れて2017年、トッド・ラングレンの『サムシング/エニシング』をパロディにしたジャケットとタイトルの1枚『サムシング/ナッシング?』を出してきたときに初めて知った。なんだか面白いやつがいるな、くらいの印象だったけれど。

その後、アルバムを重ねるたびに気になる存在になってきて。去年、30秒〜1分くらいの曲が59トラック入った全世界59枚限定(笑)の『59ヴィネット』という、この人の多彩で奥深い魅力を、それぞれ断片的にではあるけれど一気に見せつけてくれるある種の予告編というかデモ・トラック集みたいなアルバムで一気にハマった。

でもって去年、レーベルを移籍してもう1枚出した『ファスト&ルーズ』というフル・アルバムを挟んで、いよいよ新作の登場だ。移籍第2弾。というか、これ、11月に出ていたみたい。昨日のデューク・ロビラード盤同様、ちょこっと見逃してました。最近、バンドキャンプ・パトロールが甘くなってるな、俺(笑)。

チープめなファズ・ギターがうなりをあげるオープニングから時代感がスリリングに揺らぐ。今回は1970年代末あたりの、たとえばスーパートランプとか、ああいう微妙なロック・プロダクツのムードを意図的に強めた感じもあるだけど。とはいえ、ビーチ・ボーイズ、ラズベリーズあたりに影響されたメロディ感覚とか、エルヴィス・コステロやニック・ロウあたりから受け継ぐシャープなロックンロール・センスとか、エリオット・スミスやフレイミング・リップスに通じるオルタナティヴ・スピリットとかも変わらず濃厚で。それらが渾然と渦巻く感触は、いかにもニック・フレイター。

パンデミックということもあり、基本的には自宅でほとんどの楽器を自ら演奏しながら構築したという1枚だ。ドラムだけは元ザ・ダークネスのエミリー・ドーラン・デイヴィーズをはじめ、曲ごとにいろいろな顔ぶれが手助けしている。

さらに、ここぞというポイントにはジェリーフィッシュのロジャー・マニング・ジュニア、ワンダーミンツのダリアン・サハナジャ、ベイビー・レモネードのマイク・ランドル、ザ・スタン・ローレルズのジョン・レイスロップ、そして、ちょっと前にここで新作を紹介したダナ・カントリーマンら心強い音楽仲間がリモート客演。それぞれコーラスに、ギターに、シンセサイザーに、いい仕事を聞かせている。

再結成ラヴ(というか、正確にはアーサー・リー亡き後、ジョニー・エコルズが中心となって続けらた“ザ・ラヴ・バンド・フィーチャリング・ジョニー・エコルズ”)が2019年にロンドンで行なった『フォーエヴァー・チェンジズ』全曲演奏コンサートにベイビー・レモネードの面々とともに参加したり、他アーティストのアルバム制作に手を貸したり。相変わらずあれこれ忙しそうなニックさんですが。

そんな中でも自分のアルバムを定期的に出し続けてくれるのがやっぱりうれしい。バンドキャンプビッグ・スター・レコードのサイトではすでにフィジカル売ってるようですが、日本のネットCDショップだと来年1月入荷とか書いてあって。どこに頼むのが得策か、悩みながら、とりあえずはサブスクサブスク…!

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