ブライアン・ウィルソン:ロング・プロミスト・ロード(オリジナル・サウンドトラック)
やっべー。
先日、本ブログでも最新ピアノ・ソロ・アルバムを紹介したばかりのブライアン・ウィルソンを巡る新ドキュメンタリー映画『ブライアン・ウィルソン:ロング・プロミスト・ロード』のサウンドトラック・アルバム。昨日の深夜というか、本日の早朝というか、11月26日0時からSpotifyとかYouTubeとか、ちょっと遅れてApple Musicとかでストリーミング開始されたのだけれど。
数日前から各所にこのサントラの収録曲リストってのが掲載され始めて。その曲目を見て、ぶっとんだ方も多いことだろう。ぼくもぶっとんだ。
オープニングを飾るのは、マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェイムスと共作/共演したという新曲「ライト・ホエア・アイ・ビロング」。映画の短いトレイラーでも事前にちらっとBGMとして聞くことができた、あれ。ピアノがリードする、近年のブライアンっぽいメロディにジム・ジェイムスのファルセットが絡む印象的な曲で。とても期待していたのだけれど。
配信がスタートして実際にフルで聞いてみたら、これがすごかった。出だしからいきなり、なんだか妙な展開で。おっかしな曲。うれしくなった。無垢であるがゆえにクレイジーなブライアンの持ち味をジム・ジェイムスもよく理解しているというか。いい形でのコラボレーションになっているなぁ…と感心させられた。
ただ、他の収録曲がね。やばい。大興奮。1990年代にアンディ・ペイリーとさまざまなスタジオで繰り広げた、いわゆる“アンディ・ペイリー・セッションズ”で録音されながらお蔵入りしていた「アイム・ゴーイング・ホーム」のオリジナル・シャッフル・ヴァージョンとか「イッツ・ノット・イージー・ビーイング・ミー」とか「マスト・ビー・ア・ミラクル」とか「スライトリー・アメリカン・ミュージック」とか「アイム・ブローク」とか、ブートや brianwilson.com のデモ・テープ・コーナーでおなじみのお宝音源が全12曲中5曲、主にアルバム前半に固まっていて。
それらを核に、後半、マイク・ラヴとの共作曲「イッツ・OK」をはじめ、「ザ・ナイト・ワズ・ソー・ヤング」、そして映画のタイトルにもなっているカール・ウィルソン&ジャック・ライリー作の「ロング・プロミスト・ロード」など、かつてビーチ・ボーイズ名義でリリースされた楽曲の、たぶん映画用の新録ヴァージョンなど、他のもろもろが交じるという構成。映画のトレイラーだと、いつものブライアン・ウィルソン・バンドでスタジオ録音するシーンがあるみたいだから、そういう環境で録音されたものかも。スタジオ・シーンには一昨年亡くなったニック・ワルスコの姿もちらっと映っていた気がするので、ちょっと前の時期のものかな。
ゲイリー・アッシャーと共作した初期名曲「イン・マイ・ルーム」はライマン・オーディトリアムでのライヴ・ヴァージョン。こちらは、やはり映画に出てくるらしきコンサート・シーンが撮影されたときのテイクだろうか。
「ロックンロール・ハズ・ガット・ア・ホールド・オン・ミー」ってタイトルは、恥ずかしながら勉強不足でぼくは初めて目にした。“次のアルバムはどんなものになりますか?”と質問されると、ブライアンはよく“ロックンロール・アルバムになる”と答えていたけれど。そういうときにイメージしていたタイプの曲のひとつだろうか。
で、もうひとつ、「ハニーコム」ってのはジミー・ロジャースのヒットのカヴァー。ビーチ・ボーイズとしても1976年の『15ビッグ・ワンズ』の時期にカヴァーを試みたりしていたオールディーズ・チューンだ。ブライアンもソロ・ツアーのサウンドチェックの際、バンドでちょいちょい披露したりしていたみたい。
いやいや。今のところ手元に何の資料もなく、“だろう”とか“みたい”とか“かもしれない”とか、不確かなことしか書けないのだけれど(笑)。こうなってくると、これ、映画そのものへの興味もますます…。
映画は日本ではまだ見られないので、例の短いトレイラーを見ただけの状態で、全部予想で書いてますが(笑)。ローリング・ストーン誌の編集者、ジェイソン・ファインによるブライアンへのインタビューを中心に、ブライアンの思い出の地を訪れたり、ブライアンの心のロード・トリップみたいな、そういう映画だ、と聞いている。加えて、ブルース・スプリングスティーン、リンダ・ペリー、エルトン・ジョン、ジェイコブ・ディラン、ドン・ウォズ、グスターヴォ・ドゥダメルらがブライアンの音楽を巡るマジカルな謎についてそれぞれの視点から語る、的な? なもんで、早く見たいなと思ってはいた。
そのうえ、こういう曲たちがサウンドトラックとしてずらり使われているということになると、こりゃやばい。見たい。本腰入れて情報収集しなくちゃ。
はやる気持ちを抑えつつ、とりあえずはApple MusicやSpotifyでストリーミングが始まったこのサウンドトラック・アルバムを楽しみます。まあ、マニア向けの仕上がりで。このサントラでブライアン入門…ってのは、たぶん暴挙だと思うけれど。ある時期までのブライアンがどんなにやばい人だったかは、ブライアンをあまり知らない人でもじわじわ感じることができる仕上がりかも。
フィジカルはまだ出ていないみたい。HDTracksではハイレゾ扱ってるけど、日本からは真っ当な形では買えないようで。とりあえず音源買いたかったらiTunesかAmazonか、あるいは買わずにサブスクで乗り切るか…。