Disc Review

Parlor Sounds / Miss Tess with Thomas Bryan Eaton (self-released)

パーラー・サウンズ/ミス・テス・ウィズ・トーマス・ブライアン・イートン

不覚にも気づかなかった。去年、本ブログで6作目のフル・アルバム『ザ・ムーン・イズ・アン・アッシュトレイ』を紹介したことがあるオールド・スクール・レディ、ミス・テスの新作アルバム。5月に出ていたみたい。

彼女のWEBサイトなどでお披露目された後、先週、11月24日にApple Musicでストリーミングが始まって。それを機に知りました。てことで、遅ればせながらご紹介。

『ザ・ムーン…』の後、1作、去年の夏に好きなグレイト・アメリカン・ソングブック系のスタンダード・ナンバーを歌いまくった『ドゥセー』ってカヴァー・アルバムをリリースしていて。それに続く新作だ。

前作はライル・ブルーワー(ギター)とザッカリアー・ヒックマン(ウッド・ベース)とともに一発録りされたものだったけれど。今回は『ザ・ムーン…』でも大きな役割を果たしていた長年のバンドメイト、トーマス・ブライアン・イートンとのデュオ・アルバムだ。歌声とコーラス以外は、ミス・テス自ら、およびイートンが奏でるアコースティック・ギターの響きのみ。

この簡素な編成で、基本的にセルフ・カヴァーというか、過去のアルバム群に収められたレパートリーの中からファンのリクエストが多かった人気曲を再演してみせた1作だ。ミス・テス流のアンプラグド・アルバムかな。オープニングを飾る「シュガー・イン・マイ・ボウル」以外、すべてミス・テス作のオリジナルです。

アルバム・タイトルからもほのかに予測できる通り、二人ともいわゆる“パーラー・サイズ”のヴィンテージ・ギターを使っての録音だ。パーラー・サイズというのは、フル・サイズのギターよりも少し小さめで、かといってトラヴェル・ギターとか呼ばれる超小型のやつよりはちょい大きめのサイズ。パーラー、つまり応接間くらいの規模の場所で少人数の観客を相手に演奏するときにちょうどいい大きさのことだ。

ミス・テスが1940年のレコーディング・キング社パーラー・モデル、トーマス・ブライアン・イートンが1951年のハーモニー・ステラをそれぞれ奏でつつ、ナッシュヴィルのスタジオで一発録り。コーラスも随所に聞かれるけれど、これも同時かな。後ダビングかな。この超シンプルな編成で、ゆったりジャジーな曲から、ブルージーなミディアムもの、さらにぐいぐいロールするアップテンポものまで、自身の人気レパートリーをひょうひょうと聞かせている。

かつてルームメイトだったというレイク・ストリート・ダイヴのレイチェル・プライスによるレトロなデュオ・プロジェクト、レイチェル&ヴィルレイのアコースティック版みたいな? だいぶ寒くなってきたけれど、晴れた秋・冬の日のお散歩BGMによろしいかも。フィジカルはバンドキャンプご本人のWEBストアでは扱っているようだけれど、あとは今のところデジタル・リリースのみみたい。いつもながら、この種の音楽はヴァイナルで聞きたいです。乞・ヴァイナル化!

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