Disc Review

Bright Lights / Susanna Hoffs (Baroque Folk Records)

ブライト・ライツ/スザンナ・ホフス

バングルスを解散してソロ・デビューを飾ったころプロモーションで来日して。ぼくが司会していた番組にも出てくれたんだよなー。懐かしい思い出だなー。スザンナ・ホフス。かわいかったなー。

と、そんなスザンナさん。久々の新作フル・アルバムの登場です。去年、トラヴィスの『10ソングズ』にゲスト参加していたけれど、ソロ名義のアルバムとしては2012年以来かも。その翌年にマシュー・スウィートとのデュオ・プロジェクトによる第3弾アルバム『アンダー・ザ・カヴァーズVol.3』があったものの。いずれにしても8〜9年ぶり。なんだかうれしい。

1991年の『ボーイの誘惑(When You're a Boy)』、1996年の『スザンナ・ホフス』、2012年の『サムデイ』に続くソロ名義での第4弾アルバム。ただし、今回は前3作と違って全曲がカヴァーもの。マシュー・スウィートとのデュオ・シリーズとか、2012年のカヴァーEP『フロム・ミー・トゥ・ユー』とか、そっちに近いコンセプトによる1枚だ。

これまでバングルス時代からの付き合いになるデヴィッド・カーンをはじめ、ジェイソン・フォークナー、ミッチェル・フルーム、ジャック・アントノフなどけっこうなくせ者連中と仕事をしてきたスザンナさん。今回組んだパートナーはつい先日、本ブログでも新作を紹介したエイミー・マンとのコラボでおなじみ、ボール・ブライアンだ。ということでエイミーも1曲にゲスト参加。シンプルなフォーク・ロック・サウンドを基調に、必要な個所にはストリングスなどを効果的に配しつつ、きっちりポイントを押さえたポップでキュートでロマンティックな音世界を作り上げている。

選曲もいい感じ。まず、エミット・ローズが在籍していたメリー・ゴー・ラウンドの「タイム・ウィル・ショウ・ザ・ワイザー」のカヴァーでアルバムはスタート。バングルス時代にもデビーのヴォーカルで「リヴ」をカヴァーしていたけれど、それに続くメリー・ゴー・ラウンド曲ということになる。

続いて、ニック・ドレイクの「ワン・オヴ・ジーズ・シングズ・ファースト」を挟んで、元ビッグ・スターのクリス・ベルがバンドメイトだったアレックス・チルトンとデュエットで聞かせていた「ユー・アンド・ユア・シスター」へ。ビッグ・スターといえばやはりバングルス時代、マイケルのヴォーカルで「セプテンバー・ガール」を取り上げたり、マシュー・スウィートとの『アンダー・ザ・カヴァーズVol.2』で「バック・オヴ・ア・カー」をカヴァーしたりしていたっけ。流れを感じる。

で、バッドフィンガーの「ネイム・オヴ・ザ・ゲーム」をエイミー・マンとデュエットして、今回のアルバム・タイトルにフレーズが流用されているリチャード&リンダ・トンプソンの「アイ・ウォント・トゥ・シー・ザ・ブライト・ライツ・トゥナイト」、モンキーズの「君はひとりぼっち(You Just May Be The One)」、ポール・リヴィア&ザ・レイダーズの「ヒム・オア・ミー(Him Or Me - What’s It Gonna Be?)」と進んで。

そして、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドものへ。『アンダー・ザ・カヴァーズVol.1』ではどストレートに「サンデー・モーニング」を取り上げていたけれど、今回はニコが歌っていた「ファム・ファタール」のほう。で、バングルス時代に「マニック・マンデー」でお世話になったプリンスの「テイク・ミー・ウィズ・U」からシド・バレットの「むなしい努力(No Good Trying)」へと至って、締め。

ちなみに「テイク・ミー…」は以前、プリンスが他界したちょうど1年後、2017年4月にトリビュート・シングルとして配信されたのと同じヴァージョン。この曲あたりが本作へのきっかけになったのかな。パンデミックの間、グリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングによる「マニック・マンデー」のカヴァー映像にリモートで共演したりしていたのもこうした流れの一環だったのかも。

敬愛する先達への心温まるラヴ・レターって感じです。フィジカルはまだ出てなくて、ストリーミングかデジタル・ダウンロード販売か。ハイレゾはHDTracksあたりでしか見てないなぁ。でも、HDTracksだとゴニョゴニョしないと日本からは買えないからなぁ。Apple Musicだとロスレスで買えるっぽいけど、“movpkg”って、なんか妙な拡張子のファイルになっちゃって、汎用性なさすぎ。Amazonではロスレスで買えるのかな。んー、わからないから、とりあえずはサブスクか、あるいはゴニョゴニョか…。

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