Disc Review

Rory Gallagher: 50th Anniversary Edition (Super Deluxe 4CD + DVD Boxset) / Rory Gallagher (Universal Music)

ロリー・ギャラガー:50周年記念エディション(スーパー・デラックス・ボックスセット)/ロリー・ギャラガー

昨日、珍しく休日なのに更新したので、代休ってことで今朝は休んじゃおうかなとも思ったけれど。昨日もお知らせした通り、今夜は佐橋佳幸くんを迎えての配信CRTがあるので。1983年のことをテーマにみんなで思いきり語り合って、すっかり疲れちゃうかもしれないので。休むなら明日かな、と(笑)。そんな感じで、とりあえず今朝は更新しておくことにしましょう。

なにせ、50周年記念エディションの嵐が一向に収まらず。後から後から次々出てくるもんだから、聞いているだけでもう大変。紹介も追いつかない。うれしい悲鳴です。今度はロリー・ギャラガー。1971年にリリースされたソロ・デビュー・アルバムの発売50周年を記念する4CD+1DVDの箱、出ました。やばい。

ロリー・ギャラガーというと、例のぼろぼろにボディの塗装が剥げ落ちたストラト。フェンダー・ストラトキャスター・ギター。あの印象が強烈だ。初めて写真で見たとき、ぶっとんだ。で、逆にどんなきれいな塗装よりかっこいいと思った。

ぼくがまだ学生だった1970年代半ばくらいのことを思い出してみると。やはりストラトを持っているギタリストは、アマチュアでもそれだけでかっこよく見えたものだ。ぼくがテレキャスター派だったこともあるのだろうけれど。仲間のギタリストでストラトを持ってるやつは、なんだか一段上というか。腕が立つ感じがした。

単に値段が高かったということ以上に、ある程度のテクニックを持った者でないとストラトを持っちゃいけないみたいな、そんな暗黙の協定があった気がする。1970年代にストラトの使い手として頂点に立っていたのがあのエリック・クラプトンだったからかな。とにかく、リズム・カッティングだけするならテレキャスター。リードならストラト、と。そんな感じ。日本でも鈴木茂、大村憲司、村松邦男などストラトを抱えた人気ギタリストが多く活躍していた。1970年代の日本で、ストラトはアマチュア・ギタリストの憧れの存在だった。

ストラト使いというと、古くは、ロックンロール系だとバディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ブルース系だとバディ・ガイ、ジョニー・ギター・ワトソン、マジック・サム、アイク・ターナー…。

でも、やっぱりジミヘンかなぁ。ジミ・ヘンドリックス。ストラトならではのトレモロ・アームを駆使したダイナミックなプレイでその後のロックの可能性を無限大に広げた男。ジミヘンの大活躍によってストラトキャスターは1970年代ロックの中心的ギターとして一躍注目を集めるようになった。以降、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、リッチー・ブラックモアなど、強烈なストラト・ヒーローがぼくたちを盛り上げてくれたわけだけれど。

そしてこの人、ロリー・ギャラガーだ。おなじみのエピソードだろうけど、ロリーは1969年にロック・トリオ“テイスト”の一員としてデビューを飾るちょっと前、愛用の3トーン・サンバーストのストラトを盗まれてしまって。10日間くらいずっと探し回って。で、ようやく雨ざらしになっている愛器を発見。そのときボディはぼろぼろの状態に…。

が、その後もロリーはそのぼろぼろの愛器を使い続けた。なんでも塗装が剥げたことも結果オーライで。ロリーによれば、ギターのボディの木材も呼吸をしているので、実は塗装も薄ければ薄いほどいいのだ、と。

というわけで、ロリーはそんなぼろぼろのストラトを抱えてテイストとしてデビュー。クリームなき後、彼らの再来とも言うべきスリー・ピース・ロック・バンドとして注目を集めたものの、1970年10月に解散。1971年、ロリーはソロとしてデビューを飾った。でもってリリースされたのがファースト・ソロ『ロリー・ギャラガー』。その発売50周年を祝うボックスセットがこのほどめでたく登場したというわけだ。

この人の場合、必殺の1枚は1972年の『ライヴ・イン・ヨーロッパ』とか1974年の『ライヴ・イン・アイルランド』とか、その辺のライヴ盤になるのだろうけれど。スタジオ盤ももちろん聞き逃せなくて。独自のブルース・ロック感覚をジェリー・マッカヴォイ(ベース)とウィルガー・キャンベル(ドラム)とのトリオ編成を基調に炸裂させたこのファースト・ソロもごきげん。大好き。

お得意の豪快ギター・リフが爆発するブルース・ロック「ランドロマット」を筆頭に、テイスト時代からのレパートリー「ハンズ・アップ」とか「シナー・ボーイ」とか、どことなくスティーヴン・スティルスにも通じる味を感じさせるアコースティック・ギター・プレイが印象的な「ジャスト・ザ・スマイル」とか「アイム・ノット・サプライズド」とか、スローなマイナー・ブルース「フォー・ザ・ラスト・タイム」とか、ロリー自身が吹くアルト・サックスのアンサンブルまでフィーチャーされたちょいジャジーな「キャント・ビリーヴ・イッツ・ユー」とか。ギターをいかに“鳴らす”かという点に関して多くの影響を残したロリーの多彩な持ち味がここですでに全開になっている。

今回のボックスセットは、まずCDのディスク1にこのオリジナル・アルバムの収録曲全10曲のニュー・ミックスが入っていて。ディスク2と3に別テイク、未発表音源など32トラック。以前、本ファーストがCD化されたとき、ボーナス・トラックとして入っていたマディ・ウォーターズの「ジプシー・ウーマン」とオーティス・ラッシュの「イット・テイクス・タイム」の未発表カヴァーを聞いて、どっちもものすごくかっこいいもんだから。きっと他にもいろいろあるんだろうな…と思っていたのだけれど。ありましたー。いろいろ。

ディスク4には英BBCラジオの『サウンズ・オヴ・ザ・セヴンティーズ』と『ジョン・ピール・サンデー・コンサート』で1971年に録音されたライヴ音源が10曲。で、DVDにはフランスのパリでTV番組『Pop Deux』に出演した際のソロ・コンサート約50分を収録。さらに、貴重な未公開写真、エッセイ、ロリーの手書きの歌詞などを掲載した32ページのハード・カヴァー・ブックレット、限定ポスターなどが同梱されている。

未発表系の音をダイジェストにしてCD1枚に詰め込み、オリジナル・アルバムのニュー・ミックスと組み合わせた2枚組仕様のCDとか、ジョン・ピール・ライヴだけ収めたオレンジ・ヴァイナルとか、いろいろな仕様で出てます。

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