Disc Review

Gotta Have the Rumble / Brian Setzer (Surfdog)

ガッタ・ハヴ・ザ・ランブル/ブライアン・セッツァー

ストレイ・キャッツの一員としてデビューを果たして以来、ことあるごとに来日して、ごきげんこの上ないホットなパフォーマンスをぼくたちにプレゼントし続けてくれてきたブライアン・セッツァー。残念なことにここ数年は、自身が深刻な耳鳴り問題に悩まされたり、世の中にコロナ騒ぎが巻き起こったりしたせいで、さすがに来日は途絶えてしまっているものの。

とにかく、ぼくも大好きなミュージシャンなもんで、新作のリリースがなくても何かと本ブログで名前が出てくるミュージシャンのひとりではある。それだけに、正直なところ、もうこの人についてここで特に新たに書くこともないのだけれど(笑)。

ほんと、かっこいい。大好きだ。ストレイ・キャッツ時代も、ソロになってからも、オーケストラを結成してからも、ずっとかっこいい。ハードにグルーヴするパンキッシュなロカビリーもの、疾走するカントリーもの、ブルージーなロカバラード、ドゥーワップ、ジャンプ・ブルース、超絶ギター・テクニックを満喫できるインスト曲まで。どんなフォーマットで演奏しても、ブライアン・セッツァーのギターとヴォーカルは常にギミックのない豪快な直球勝負。泣ける。胸が躍る。

とか、きっと同じこと、これまでブログのどこかで重複して書いていることでしょう(笑)。そんなブライアン・セッツァーの新作、出ました。今回はソロ名義。ストレイ・キャッツ名義で2019年に出した40周年記念盤『40』とか、2020年のディオンのアルバム『ブルース・ウィズ・フレンズ』への客演などが挟まっていたけれど、ソロ名義でのオリジナル・スタジオ・アルバムとしては2014年の『ロカビリー・ライオット』以来7年ぶり。

プロデュースは2006年以降、チープ・トリックとタッグを組んできているジュリアン・レイモンド。レコーディングはセッツァーが第二の故郷と呼んでいるミネアポリスとナッシュヴィルで。セッツァー単独名義で書いた曲は2曲。他はすべて共作曲だ。スリム・ジム・ファントムとの共作曲が1曲、ザ・ロカッツのディブス・プレストンとの共作曲が2曲、マイク・ヒメルスタインとの共作が6曲。

ジャケットからもわかる通り、ブライアン・セッツァー流のホットロッド・ロカビリーあり。エキゾチックな中東ふうのギター・リフを伴ったラテン調あり。ジャンプ・ブルース調あり。エルヴィス・プレスリーの1960年代映画サウンドトラックに収められていそうなトロピカル風味のボサノヴァ・チューンあり。軽快なカントリーあり。昨日今日じゃない凄みのようなものがどの曲にも漂っていて。最高だ。

歌詞的にはオートバイや車でハイウェイをぶっとばす系のものがあったり、スリリングな恋の物語があったり、ロックンロールへの思いを炸裂させたものがあったり。アルバム表題曲の“ランブル”という言葉にはホットロッド的な意味合いもあるけれど、同時に、近年セッツァーを悩ませ続けている耳鳴りのことも指しているらしい。フェンダー・ベースマン・アンプをでかい音で鳴らしながらグレッチのフルアコを駆るセッツァーにとって、この耳鳴り、本当に切実な問題だったのだろうな…。

昨日、8月25日に日本盤CD(Amazon / Tower)が先行発売されて。これにはラストを飾る「ロカビリー・バンジョー」のインスト・ヴァージョンがボーナス追加されている。ストリーミングもこの形式。で、輸入盤CDは追加曲なしの全11曲入りで明日、8月27日発売。ぼくは10月だか11月に出る予定のアナログを注文しているので、まだブツは手元になし。でも、ストリーミングという強い味方があるので、それで堪能しながらひたすらLPの到着を待ちます。

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